8人が本棚に入れています
本棚に追加
帰り道の途中。怜と隆将が並んで前を歩き、俺と千聖が後を続く。
「なぁ、千聖」
「何?」
「新作読んだよ。すっげぇ良かった。第二章も楽しみにしてる」
「おう。いつもありがとう」
照れ臭そうに笑う千聖。こういうところを見ると、本当にちぃは千聖なんだなぁと実感する。
「ところでさ、ヒロインの一人の楓のことなんだけど……」
おもむろに、俺は切り出した。
「楓? あぁ、あれは、」
「やっぱり主人公とくっつくのか? それとも、他の子が主人公とくっついて楓は別の男とくっつくのか?」
「え、何でそんなこと」
「いいから教えてくれ! 気になって夜も眠れないんだよ!」
俺の並々ならぬ熱意を感じたのか、千聖はスッと真面目な顔になる。
「まだ分かんねぇよ。俺の場合、書いてるうちに登場人物が勝手に動き出すっていうか」
「そ、そっか」
「まぁそこも含めて楽しみにしててくれよ。今回は俺も、今までで一番本気で書いてるからさ」
俺は仕方なく「分かったよぅ」と返し、しょぼくれた。千聖が弱ったというように頭を掻く。
その後、何を話すでもなく、たこ焼き屋に着くまで黙々と歩き続けた。そんな俺たちを怜と隆将は不思議そうに何度もチラ見していた。
最初のコメントを投稿しよう!