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「あぁー……今回もめっちゃ良い……」
一人呟き、ベッドの上に身を投げ出した。爽やかな読後の余韻に浸りながら、俺は手の中の箱を眺める。
少しお馬鹿だけど、真っ直ぐで純粋な高校生の日常を描いた小説。宝物のようなキラキラした青春が今、この箱の中にある。
俺は早速作者に対して称賛の意を示すべく「スター」ボタンの押下と簡単な感想を書き込む。ネット小説は、こうやって気軽に作者に感想を届けられることも魅力だ。
ハーレム要素も上手く取り入れつつ、主人公の成長を真正面から描いた傑作だと思います! まだ第一章が終わっただけですが、こんなに熱い展開を見せられたら第二章への期待が否が応でも高まります!
感想を送り終え、俺はもう一度感嘆の溜息を吐く。
さて。普通の人の読書ならここまでで終わり。だが、俺にはもう一つ先がある。むしろここからが本番と言ってもいい。
「そうだ、今日はこの世界へ行こう」
誰にともなく宣言し瞼を下ろす。
数秒後、目を開いた俺はすでに、ザワザワした放課後の喧騒の中にいる。
「うわっ、いつもの教室じゃん」
勝手知ったる、高校の俺の教室。しかしそこにいる生徒たちの顔に見覚えはない。皆よそ者の俺を無視し、各々の放課後を堪能している。
現実とは違う場所。キラキラした青春のその舞台。
そう。ここは小説の作者が想像した、物語の中の世界。
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