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アイスクリームを冷凍庫から出した。レジスターまで持って行くときに手で持った。外は暑かったので手が冷えて気持ちがよかった。
「山の電車の駅に行きたいのですが?」
ととなりのレジスターで話している三十代くらいの男は言った。
「このそばです。外に出てまっすぐ進んで五分以内で到着します」
「体力的に限界なのでタクシーに乗ろうかと思います」
「失礼ですが、お金はありますか?」
「実はありません」
「それではちょっと待ってください」
従業員の男は言って振り返った。
「西岡、車でお客様を駅まで乗せて差し上げる。レジを頼む」
というと彼は外の出入り口付近に置いてある車のエンジンをかけた。
「この車に乗ってください」
「ありがとうございます」
「登山ですか?」
「はい」
そう言って二人は駅まで行くらしかった。外は猛暑日であった。どうしてこんな日に登山をするのだろうかと彼は不思議なものを感じたのだった。
彼は支払いを済ませてここら辺は熊が出るという話を思い出して彼はそそくさと帰宅した。
今日はぶりの味噌煮だ、と季節外れではないのかと思える献立をひらめいた。
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