1 私、異世界転生聖女。めっちゃ、ぴえん。

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1 私、異世界転生聖女。めっちゃ、ぴえん。

異世界転生を果たして真面目に聖女のお役目をしてたら異世界転移してきた新聖女候補に王子寝取られた。ぴえん。 ってタイトルで小説を書きたくなった異世界転生聖女18歳です。名前はユーリアです。孤児院育ちの平民なので名字はないです。 あれですわ、日ー考えても地球じゃないなってところで子供心に気づきました、これ、異世界転生や!いやーオタクだったからそういうの得意よ。情報収集に励んでみれば瘴気とやらのせいで魔物が現れる世界。よっしゃ!ファンタ本でOLやってたんですけどどうやら過労死して目が覚めたらこの世界。髪の毛がピンクやらブルーやらどジー!!この世界には聖女って職があるって聞いてからは、おーっしゃ、キタコレ!!私、魔法使いか聖女に選ばれちゃうね!!ってウキウキ。前世の知識を子供心に試してみたら孤児院近くの瘴気が払われちゃってね。(オタクだから神道の祝詞とか密教の九字とか世界をまたいでも覚えてた)地方の貧乏孤児院から王都の教会で保護されるという王道展開。 実際聖女の儀とやらで伝説の水晶玉に触れた途端に周り中にレインボーの光が乱舞、しゃらんら!したからやっぱり我主役!!もしくは準主役!!オッケー!!魔物でもなんでも退治しよう!!って厨二病全開でいたんだけどね。 なーんかね、我主役もしくは準主役!!のはずなのに外見が超絶地味。黒髪ストレート黒目の純日本人風。それでも前世よりはぱっちりおめめでクルンと長いまつげだし、よっしゃ主人公補正っ!て思ってたんだけども視力が超悪いから瓶底メガネをつけなくてはいけないという。あーれぇ?おかしいなぁ? これは、あれだわメガネを取ったらびっくり美少女パターン!それに違いない!! 不安なのはメガネをとっても大してビジュアルが良くなるわけじゃないってとこだけど、まあ、ね? 美の判断は周りが下すものなのだ。自己判定が地球基準のモブでもここでは違うにちがいない。っと思ってわざと男性の前でメガネを取って見せたけど無反応。ツラ!! 地味な外見は置いといて国で唯一の聖女ってことで将来この国の王様になる王太子のレオ王子(顔面マジタイプ!金髪碧眼王子様!昇天!!ハレルヤ!!)の婚約者になれたし将来は王妃様になるのだ!!と真面目に王妃教育も受けて聖女のお仕事もこなして、とここ3年頑張ってきたの。 元社畜なめんな。丁寧語謙譲語を使いこなすおもてなしの国から来た俺に淑女マナーなんざぁ容易いものよ。おほほ! でも、レオ王子とはめったに交流はないし、仕事づけの日々に若干の疑問を抱きつつも国を良くするべく色んなところでお清めやらなんやらやることは尽きないから超頑張ってきたの。この辺過労死するまでつっぱしる前世の性格が影響しちゃったと思う。周りがドンビキするぐらい頑張って、外国までお清めの旅とか行ってたし。 でも本日、ついに私は気づきました。異世界転生を果たしてからうすうす感じていたこの世界のおかしさ。ただいま眼の前で私の婚約者である王子と最近異世界からやってきたカオリン(本名 カオリだと思われる)という聖女候補が聖なる教会の壁にドンしながらの立ちバックを目撃したことではっきりわかんだね。 ここ、あれだね。エロゲかティーンズラブかわかんないけどあの新入りの聖女候補がハーレム作っちゃうような世界だわ。そんで私はドアマット役ってやつかな? ろくに交流のない地味な婚約者に比べて異世界から神に呼ばれてやってきた聖女としての力もあるおっぱいの大きな可愛い子ちゃんだったらねーそらーそっちをとりますよねぇ。ふーん。 「あぁん、だめレオ王子。あなたにはユーリア様が」 「ユーリアは形だけの婚約者だ。私が愛してるのはカオリンだけさ。すぐに婚約解消するよ。心配しないで。ほら、もっと感じて」 「あぁっそんな深いぃん。ひゃぁん」 ジュッポジュッポジュッポと淫靡な水音が教会の廊下に響く。 おぉぉぉーい!!聖なる場所で性行為ですかぁ?はぁ?オヤジギャクですか?うける。 ってか他人の性行為って見るの超キモい。ゲロロン。 ドアくらい閉めようよ。 そっと閉めてあげました、私優しいので。 いや~びっくりするほど私、冷静です。 しずしずと廊下を歩きながら教会の奥にある私室に向かう。思い出すのは今朝の出来事。 一緒に祈りを捧げるはずの彼女がいないのを不思議に思いながら聖堂で祈りを捧げていた私の耳に飛び込んできた抑えた女の喘ぎ声。 私も前世が成人女性だったからすぐに気づいた。 誰か知らんが朝っぱらからやっとるやんけ!!と。 音の出どこは聖堂内の懺悔室だとすぐに当たりが付いた。で、聞きたくなかったけど教会の中って音が響くんでね。甲高いお声とちゅぱちゅぱって音がね、お祈りを捧げている間私の耳に届いてたんですわ。 これはおっぱい吸われてんな! まぁ私は品行方正な聖女なので、こっちの世界に来てからはまったく異性と触れ合ってなかったんです(モテなかったとかチクチク言葉はやめていただきたい)今は王子さまの婚約者だし、将来の王妃に手を出すバカはこの国にいないのでね。それにこちらではそういう品のない本とか無いので、ムラムラしたら前世の記憶を頼りに自分のイマジネーションとのコラボをするしかなくてですね。 だから、ちょっとね、誰なのかしら?って思っちゃってね。 こっそりこーっそり懺悔室の小さな明かり取りの窓を覗いたらね、聖女候補ちゃんがおっぱい丸出しで震えてました。お相手は王子様の護衛騎士の一人で私も顔を知ってるトーマ様。右の乳首を口に含んで左の乳首はコリコリと指先で責め立てる変態チックな技工派だとは普段のお顔からはとてもとても想像つきませんね。いやん、えっちぃ。 ん? あれれれれ?おかしいなぁ。この前教会の下働きだけどやたら顔の良い男の子ミカエルくんと暗がりでちゅっちゅしてたよね? 短期間に三人…… はい、決定!あの子ハーレムエンドとか狙ってるんだと思う。あれだよね、この世界を知ってる異世界転移者だわ。教会の下働きの子も王家の血筋とか入ってる系でしょう。 知ってんだ!俺!!オタクなめんな!! で、そのうち二人の恋の道にお邪魔虫な私はお払い箱って展開なんだろうなぁ。 いやだなぁ。王道悪役令嬢話みたいに『いじめられましたぁ』ってなくカオリンに卒業パーティで断罪されてからの婚約破棄って流れ?いや、ないな。お前みたいな平民を将来の王妃に仕立てるためにはスパルタが必要って家庭教師つけられて王立学園通ってないし、私。聖女候補のカオリンさんとは教会で聖女のお勤めをする時にしか関わってない。カオリンさんは学園に行ってるけどね。 ということは、普通に私に頭を下げて「見つけてしまったんだ真実の愛を」「ごめんなさい。私が悪いの婚約者のいる方を好きになってしまったから、責めるなら私を!」「カオリン、君のせいじゃない、悪いのは愛のない結婚をしようとしていた僕だ」とか小劇場見せられて、被害者の私が許してあげないなんてひどいって視線をむけられてなぜか私が身を引くっていい出すように仕向けられての婚約破棄?とか?でもなぁ王様の前で婚約式してる私は正式な婚約者だからな、そう簡単にいくかな?公式書類にサインしたよね?我めっちゃオフィシャル聖女兼婚約者だし。 でも…… そもそも、カオリンさんが聖女としての力が私と同等もしくは上なら……ただの平民の孤児である私を王妃にする必要はないよね。神に選ばれてこの世界に呼ばれた聖女と孤児上がり、どっちが箔付けされてるかっていうと前者だわ。 まぁあの子全然真面目に聖女の仕事しに来ないので私は実力は知らないんだけど。 くわり、と大きなあくびをしながら自室へ入る。 一応聖女だから与えられている自室のふかふかの寝台に身体を横たえながらあくびをもう一つ。 本日も朝から聖女のお仕事ギッシリだったし、なんかもう考えたくない。 我ながら王子様に裏切られ傷心しくしく涙に濡れる。って感じじゃないの不思議。 やっぱり王子様のこと「顔がいい!!」としか思ってなかったのかな。 うーん。 前世の元彼たちが浮気にギャンブル狂に暴力男だったから素直に男性を信じられない(たち)っていうのがね。 ま、そのおかげでダメージが少ないんだもの、結果オーライ!! カオリンが聖女にふさわしいっていうなら職も婚約者の立場も熨斗つけて返上すればオッケーでしょう。 (じゃあ『やってもないいじめの罪捏造』は心配しなくていいかな) *** なーんて思っていたこともありました。 古今東西ストーリーの王道、邪魔者は消せ! 『不慮の事故を装った暗殺』忘れてました!! 私聖女(ユーリア)。今、崖から突き落とされて落下中!! 普通に死ぬな、これ。 グッバイ!!
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