3人が本棚に入れています
本棚に追加
【悲報】楽しいゲーム生活、始まる前に終わる
VR技術を基にして、ゲームの世界をまるで現実そのもののように感じられる技術がついに発明された、らしい。
そして、その新作オンラインゲームのテストプレイヤーが募集される、という話を僕が耳にしたのは、大学の講義の休み時間のことだった。とりあえず、駄目で元々と思いつつ応募してみることにする。
そして、3か月後、なぜか家のポストに無事合格の通知が届き、僕は通知に記載されていた施設を訪れることになった。
これが、始まりだった。
簡単な事前説明が終わったあと。僕は案内された個室で、椅子に座って、さっそく置いてあるメットを被った。こうすれば自動的にログイン、ゲームがスタートするんだそうな。各自でキャラメイクした後、始まりの街から冒険が始まるとのこと。さて、では早速始めようじゃないか。
メットを被ると、一瞬、立ちくらみのように周りの景色がぐらりと揺れた感覚があり、何もない空間の中に自分が浮かんでいるのに気づく。
おお、もうゲームの中なんだ。なんだか自分が本当に浮かんでいるように感じるね。
僕が最近の技術の進歩に感動していると、突然目の前にウインドウがパッと表示された。
……なるほど……なんでも、まずはジョブを決めないといけないらしい。とりあえず、表示されたジョブ一覧を見てみる。なんだかやたらに種類があるな……。
しかし、明らかに誰も選ばなさそうな職業が多いような……。何だよ、「町の入り口で町の名前を言う人」って。あれ職業だったの? 時給安そう。
しかし、ジョブか……。自由に動きたいし、ソロもできるジョブがいいかな。……剣士? 召喚士? 魔法使い? キャラメイクは1度だけ。ここは慎重に行かねばならないであろう。
迷いに迷って2時間後。ちょっと時間がかかってしまったけれど、最終的には魔法剣士にすることにした。魔法も使いたいし、剣もかっこいい、そんなあなたにうってつけ。後半になれば器用貧乏で中途半端な職になりそうで、今からゾクゾクするね。
種族とかも自由にいじれたら楽しいんだろうけど、それは全員が「人族」でスタートらしい。現実の自分と異なったものの感覚や動作を違和感なく再現することは、技術的にまだ無理なんだって。
だから、同じ理由で外見もいじれない。せいぜい髪と目の色が変えられるくらいだ。つまり、自由にキャラを作ってプレイするっていうのが、できない! なんてことだろう。美少女キャラを作って無双とか最高なのに。
……まあでもあれかな、現実の自分の姿のままで魔法を使えたりって、それはそれで結構ありかも。キャラの幅は、将来に期待かなぁ。
そして、ジョブを選び、髪と目の色を設定したら、名前を付けて、それで完成。名前は、友達に呼ばれるあだ名をそのまんま付けた。スキルの設定とかもあるのかと思ったら、それはどうやらゲームの中で習得していくものらしい。
こういう場合、普通はしない行動とか、誰も行かなさそうな横道とかに、得てしてレアスキルが隠れているものなのは、もはや常識。人目を気にすることなく、大胆に行動していきたいところだよね。
……そして最後に、「設定はこれでよろしいですか?」の質問に、「はい」を選択する。これで、始まりの街の広場に移動できるはず。それでは、冒険の旅に、しゅっぱーつ!
最初のコメントを投稿しよう!