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はじまりは黒から
「あの子が」「ひどい」
「悪い、謝れ」「死ねよ」「あいつ…」
🖤
「嘘つき。」
なんでそんな事言われなきゃ駄目なの。
僕は何もしてないよ。彼女を守っただけ。
どうせ、こんな黒い奴らには分からないさ。どれだけ僕が苦労してるか。
帰り道の公園に、また。やっぱりいた。亜味
あいつは愚痴をとにかく言ってうるさい。帰りたい。
だけど聞かなきゃ殺されるのだ。
「だいちゃん。また来てくれたの?」
来てること知ってたくせに。
「また、聞いてくれるよね…?」
ぐっと手を握りしめて、僕は誓うように言う。
「いつでも聞くから。」と。
僕だけが見えるモノクロの世界。僕は笑顔。正しく、優秀。
心はいつも黒く染まりきり、何もかもが満たされている。
世の中は黒い人ばかりだ。個性であふれ、誰かがなにか言って、それが広まって、みんな許せなくなる。平等じゃない世界。
僕は平等だから、優しいよ。どんな人も大切にするよ。
「嘘つき」
言われたことを思い返しため息をつく。嘘つきはお前たちだ。遅刻ばかりなのにヘラヘラしてたり、謝ると許せないのに笑顔でうなづく。お前らに正直なんてないのに。
「なんで日本は平等じゃないのかなぁ。」
外国とかはもっと平等なのだろうか。怒りたければ怒ったり、悲しいときは誰かに相談が出来るのだろうか。もう分からなくなってきた。
一人ぼっちになって考え事が増えたと思う。
お母さん、お父さんがいたらもっと正直らしい笑顔ができたのかな。
この顔になる前は僕も真っ黒だった。でも、あの日。
お母さんが死んで、お父さんが捕まった日。
あの日から正しい人になろうと思ったんだ。悪い人は変わろうとしないんだろう。きっと。
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