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第二話 『一動き出す歯車一』
『……どういうことだ？』
僕は目を見開きながらそう尋ねた。何故なら、さっき出会った、 言い方を悪くすると拾ってきた少女に急に名前を当てられたのだ。 驚かないほうがおかしいだろう。
『……どういうことって…あなた…鈴だよね？』
『確かにそうだが…』
『……なんで、あ、もしかしてあの時…』
と、少女は独り言をぶつぶつと呟く。
『さっきから何ぶつぶつ言ってるんだ…』
『あ。 ごめんなさい。』
少女はこちらを向いて立ち上がると、 まず自己紹介をした。
『私の名前は氷。 気楽に氷って呼んで。』
と、服に付いたホコリをはたきながら少女は言った。
『なんでお前が僕の名前を知ってるかは置いとくが…お前はなんであんな所で倒れてたんだ？』
『あぁ……あの時は少し訳ありでね…』
少女は言いたくなさそうにそう答えた。
『そうか…まぁ言いたくないならいいんだが…』
『というかお前…何歳だ？見た所僕と同年代っぽいが。』
『私は…今年で16歳よ。』
（『そうか…僕と同い年か…』）
『…で、お前はこれからどうするつもりだ？』
少年は少し俯向いたがまた顔を上げてそう尋ねた。
『私は…あ、そうだ！』
少女はハッと気づいた。
『今日は入学式だった！』
『…あ。僕も… 今日入学式だったんだ…』
つい忘れてしまっていた。 今日は入学式だったんだ。 時間を見てみると……始業式開始まで後15分。 急がなくちゃ間に合わない。
『今日…もしかして、貴方の入学先…幻想学園って所？』
『そうだけど、もしかして…お前も？』
『…うん。』
『…よし、今から行くか。』
『…うん。』
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