幻想学園第一節 ーThe First Storyー

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第七話『楽しい楽しい学園旅行?in前日譚』 『学園…旅行?』 と、僕は頭を傾ける仕草をして彼女にそう尋ねた。 『えぇそうよ。学園旅行。』 どうやら彼女の話によるとフランの故郷の幻想郷という所への二泊三日の旅行らしい。目的は異文化交流なんだとか。修学旅行でもない行事で二泊三日の旅行とは、この学園の財力の底を知りたいものだ。 『明日から忙しくなるよー。私達は生徒会委員だもんねー。』 『あぁそうだな…僕も生徒委員の一員だからここも踏ん張りどころだよなぁ……』 『お。そんじゃあ今日はここでさよならとするか。』 談笑も歩みもピタリと止めて、双方分かれ道へと足を踏み入れた。 『それじゃあ、また明日。』 『えぇ。 また明日。』 そう言って、僕達は今日に終わりを告げた。 そして翌日。僕とフランは教室で立ちながら話をしていた。 『さて。確か明日が旅行だっけか。面倒くさいことが起きなきゃいいんだけどな……』 『そうね…でも楽しみなことに変わりはないでしょ。』 『あぁ、折角の旅行だ。楽しまなきゃ損ってもんだしな。』 『すぅ―――ずぅ──!!!旅行だよ旅行──────!!!!!』 と、どこかで聞いたことがある声が僕の方に突進して来たので、 闘牛の様にひらりと躱してやると、その勢いのまま声の持ち主は派手に転びそのま ま椅子へ衝突した。 『〜〜〜〜っ!!!』 そして椅子に派手に衝突した彼女は、 頭を抱えて地面をのたうち回った。 『何してんだ、愛奈。』 『なんで避けるのさぁ!?可愛らしい美少女のハグだよ!?男だったら感謝して抱きとめなくちゃいけないでしょ!!!』 『まず自己評価が高いしハグの勢いでもないし何故感謝しなくちゃいけないのかわからないしお前の謎の価値観に付き合うつもりはないぞ。』 『流石現役ツッコミ担当……その力は衰えてないね…!褒めてあげたいところだよ。』 『その担当も意味不明だしなんでお前が褒める立場なんだよ。』 そんなくだらない談笑をしながら時間は悪戯に過ぎていき…… 今は下校中でフランと愛奈の二人と話していた。 『さて。明日は旅行だな。確か明日の六時に校庭集合だっけか。』 『そうねー。早起きしなくちゃ間に合わないね。』 『まだ頭がヒリヒリする〜…』 そんな雑談ももう終わり、またさよならを言って僕等はそれぞれの帰り道を辿った。 …その後、 夕日が沈んでいっている時間帯に僕は、とある場所に来ていた。 そこはリビングという言葉が似合っており、一般的な部屋だった。 ソファーも配置されていて生活感を醸し出していた。 『…よう、麟瞳。元気か?』 『君がわざわざここに来るとはね…珍しい。』 その僕の目に映っていたのは、 山吹色の長い髪を黒いリボンで止めている女性だった。 空気が重い。双方とも口を開けようとはしなかった最中、緊迫した空気の中…彼女は喋り始めた。 『さて…それじゃあ早速だけど…』 『お茶でも飲む?何がいいかい?』 『麦茶で。 サントリーでも可。』 とまぁ。 そんなコントは置いておくとして。 彼女はキッチンでコップに飲み物を注ぎ始めた。 『で…実際君が自分からここに来るのはかなり珍しいね。何か悩み事でも?付き合っている子と何かいざこざがあったのかい?』 そう言いながら彼女は僕には麦茶を入れたカップを、自身にはコーヒーを机に置いた。 『それは違う。 フランとは至って仲良くやっていけてる。』 『…じゃあ他にどんな要件があるんだい?君がわざわざ此処に来るっていうことは、重要な話だと思うのだけれど。』 彼女がそう言った後、 僕は一拍置いてそう言った。 『実はな…………』 『……なるほどね、このことには誰かに伝えたのかい?』 『いや、この件はまだお前にしか言っていない。僕の身近にいる人物であり、この組織の医療事務局の総担当者であるお前にしか。』 『そっか……納得がいったよ。』 『まぁ………それだけだ。僕はもう帰らせてもらうぞ。』 そう言って帰ろうとしたら、出ていく前に麟瞳に声をかけられた。 『あ、そうそう待ちな鈴。君の刀の修理、終わったよ。』 『お…終わったのか。 それじゃあ貰うよ。』 『ちょっと待ってなー…確かここら辺に…』 そして彼女は作業机をガサゴソと探し始めた。おいおい……僕の大切な刀を机に置きっぱなしにしていたのか…?と、そんなこと考えていたら見つかったようで、彼女はこちらに近づいてきた。 『にしても、私の専門は医療なんだよ?鍛冶職人じゃないってのに。』 『まぁまぁ、これを直せるのもお前ぐらいしかいないんだしさ。』 彼女は溜息をつきながら、その刀を僕の方に向けた。 『ほら。君の刀…紅凰羽天月、またの名を…至七凰、だったっけ?』 僕はその刀を受け取った後、それを全体を見て、頷きながらこう言った。 『あぁ……サンキュな。それじゃあ今度こそ僕はこれで帰るとするよ。また今度。』 『また来なよ。 君がいない時はどうも暇なんだ。』 そうして僕は自宅に戻ってきたワケだが…… 『おかえりなさい。今日は遅かったね。何かあったの?』 と、キッチンで野菜を炒めている彼女はそう尋ねてきた。そう。僕と氷は現在同居している。どうにも住むところがなかったらしいから、僕が一時的に引き取ることになった。まぁ夕飯を作ってくれるから別にいいんだが… 『ちょっとばかし寄り道して来ただけだよ。というか明日の準備は出来たか?明日は旅行だぞ。』 『勿論、準備は済ませてるよ。』 キッチンで料理しながら彼女はそう答えた。 周到なことだ。 『さ、夕飯出来上がったよー。』 そうして僕達は夕飯を食べ、それぞれ明日の準備を確認した後、僕は明日の旅行に対しての不安とワクワクを押し殺し眠ったのだった。
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