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今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
ソリジャ国の王立騎士団が常駐している屯所は、アイボリーの外壁にワインレッドの屋根が映える三階建ての横に長い建物である。ここで騎士団に所属する騎士らと、彼らを支える事務官たちが仕事をこなしていた。
この建物の裏手には整備された庭が広がっており、騎士らはそこで訓練に励む。
その屯所の三階、重厚な扉の前で、事務官服を身に着けている女性――ラウニ・バサラは片手で書類を抱きかかえて姿勢を正した。藍色の瞳を大きく見開いて、ここが目的の場所であることを確認する。
この部屋は第五騎士団団長を務めているオリベル・ニッカネの執務室。
事務官下っ端のラウニは、先輩事務官からこの書類をオリベルに手渡すようにと指示さていた。そしてそのまま彼の仕事の補佐に入るようにとも言われている。
なぜなら、オリベルが書類仕事を溜め込んでいるからだ。どうやら彼はこういった書類仕事が苦手なようだ。
南の窓から差し込む光は、回廊に短い影を作る。それでも急いで仕事を終わらせなければ、定刻を迎えてしまうだろう。なによりも、「明日まで提出」の書類が多い。
第五騎士団は他の四つの騎士団と違い、平民で成り立っている団だ。
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