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今までの妄想が爆発したものだと思っていたのだ。
ラウニと出会ったのは、今から十二年前――。
ニッカネ商会にラウニの父親がやって来たのがきっかけだ。
ラウニの父親は商才に長けており、一代で財を築き上げ、ただの商売人から今では男爵位を受けている。
彼の扱う鉱石類は、この国では珍しいものが多かった。彼自身に隣国との伝手があり、共同出資してそこの鉱山のオーナーになったとか。珍しい鉱石というのは、それだけで価値がある。
当時、ラウニの父親は、販路拡大のためにニッカネ商会に足を運んだのだ。扱うものが希少で高価なものであれば、やはり信頼できるところと取引がしたい、というのが彼の考えだった。
何がきっかけとなったのかはわからないが、ニッカネ商会はラウニの父親との契約にこぎつけることができた。
そしてオリベルは、なぜかそのときからラウニが気になって仕方なかった。
もしかして、生まれたばかりの弟を「かわいい」と言ってくれたのが引き金となったのかもしれない。その一言が、オリベルにとって誇らしかったのだ。
オリベルだって健全な成人男性であり、そこそこ結婚願望はある。
女性に対して「いいな、あの子」と思うときもあったが、それでも生涯を共にしたいと思う女性とは、騎士団に入団してから出会えていない。
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