79人が本棚に入れています
本棚に追加
だから同じ騎士団であっても、どこか無意識的に事務官たちも避けていた。というのも、他の第一から第四に所属している騎士らは貴族の血筋の者たちで構成されている。そして侍女や事務官として働いている女性も貴族令嬢が多い。いや、もちろんそうでもない女性も中にはいるが、そんな彼女たちが結婚相手にと望むのであれば、そちら――つまり第五騎士団以外の男性を狙う。
ようするに、第五騎士団の連中と親しくなる時間があるのなら、その時間を第一から第四騎士団の面々とお近づきになる時間にあてたいと思うらしい。
さらにその中でも第一騎士団は花形の近衛騎士隊。だから第一騎士団の仕事が入れば、皆が我こそはと名乗りをあげる。
そのため下っ端事務官のラウニには、この第五騎士団への仕事がいつも回ってくるのだ。
しかしラウニは、第五騎士団の執務室に来るのが一番の楽しみでもあった。
なぜなら団長がオリベルだからだ。彼は孤児であったものの、子どものいないニッカネ商会の会長夫妻の養子として引き取られた。
ニッカネ商会長は跡継ぎにと思ってオリベルを引き取ったらしいのだが、彼を引き取ってから三年後に子宝に恵まれた。
その結果、オリベルは騎士を目指したとも聞いている。彼は年の離れた弟とも良好な関係を築いているとか。
そんなオリベルは二十四歳という若さで第五騎士団の団長の座についた。
最初のコメントを投稿しよう!