ジャスティスピンク

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ジャスティスピンク

「うるさい。わかったわよ!」  彼女は逆ギレしてバスルームから飛び出してきた。 「あッ!」  バスタオルを巻いただけの露わな恰好(カッコ)だ。  まだ身体じゅうが濡れて(なまめ)かしい。 「ううゥ」  ボクは、あまりの剣幕に押されて理由もわからず呻き声を上げた。 「私だって自分が不甲斐ないのくらいわかってるわよ。もっと正義の味方としてみんなを守って上げたいのは山々なんだけど」  彼女は涙目になって言い返してきた。 「あ、ゴメンなさい。ボクも勝手なことばかり言ってしまって」  ボクは素直に謝った。  正義の味方の苦労などまったくわかっていない。 「じゃァ、私も全力で闘って来るわ!」 「えェ?」 「ジャストチェンジ!」  ピーチ姫は変身ポーズを決め、ジャスティスピンクになってみせた。 「ううゥ!」 「それじゃァ」  すぐさま彼女は颯爽と家を飛び出していった。 「姫ェ、怪我しないように気をつけて!」  ボクは彼女の背中にエールを送った。 「フフゥン」  彼女は手を挙げ、Vサインをボクに送って現場の怪人に向かっていった。  情けないが、ボクはスマホでジャスティスピンクを応援するしかない。  どこかのお騒がせYouTuberが怪人とジャスティスレッドたちとの闘いをアップしていた。  いつになく激しい闘いだ。  敵の怪人は三体だ。  さすがに、ジャスティスレッドひとりでは太刀打ちできない。  完全に敵勢力に押されていた。 『レッドのピンチだ。どうした。他のジャスティスたちは応援に駆けつけないのかァ?』  YouTuberたちが撮影しながら実況していた。
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