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ピーチ姫
「どんな理屈ですかァ!」
正義の味方だから待ちたくないって。
どちらかといえば逆だろう。
正義の味方なら秩序正しく待つのが当たり前だ。
「お願いダーリン。ジャスティス・ピンクは今世紀最大のピンチなの」
美少女はボクに両手を合わしてお願いした。
「はァ、ジャスティス・ピンクがそんなにピンチなんですか?」
ボクは彼女を背負いながらあ然とした感じだ。
今世紀最大のピンチとは何なのだろう。
「そう、昨日からずっと雷雨だったじゃん。うちの部屋に雨漏りがして漏電しちゃったのよ」
「そ、それは大変ですねェ」
「この暑い中、電気もない。当然、エアコンも使えない。スマホも充電できない。さらに家賃も半年滞納してるから、強制退去を命じられて信じられなァいでしょ?」
「いやァまァ、半年も家賃を滞納してたら強制退去もやむ無しなんじゃないんですかァ」
むしろ当然だろう。
「違うのダーリン。聞いてよ。だってピーチ姫は夜は売れっ子キャバ嬢やってるじゃん」
まるで当然のことのように微笑んだ。
「ううゥ、売れっ子キャバ嬢なんですか?」
知らんけど。
まァ、超絶可愛らしいので売れっ子なのは納得できる。
「そうよ。しかも昼間は正義の味方をやって家賃なんか払うヒマないじゃん」
「そ、そうなんですか」
売れっ子キャバ嬢が正義の味方をやるってどうなのか。
「だからダーリン、チョコボ買って。あとプリッツとハーゲンダッツのアイスクリームも」
どんどんお菓子やスイーツを買っていく。
すでに買い物カゴはお菓子でいっぱいだ。
「いやァ、だからって何なんですか。だいたいどんだけお菓子買う気なんですか?」
ボクは買い物カゴのお菓子を次々と棚へ戻した。
悪いが、こんなに大量のお菓子を買う余裕はない。
「えェ、知らないの。正義の味方はお菓子で出来てるのよ」
「いやいやァ、どこのお菓子メーカーの回し者ですか。栄養の面でもちゃんとした食事をした方が良いですよ」
「えェ、お母さんなの。信じられなァい」
「いやいやァ、信じられないのはこっちですよ。そんなお菓子ばっか食べてちゃァ、敵の怪人と闘えないでしょ!」
「はァおバカさんなの」
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