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正義の味方
「はァ、おバカさんなの?」
「え、なんでボクがおバカさんなんですか」
「JPは正義の味方の中でも特殊な立場なのよ」
「え、特殊な立場って」
「JPは、怪人に囚われてキャーキャー悲鳴を上げていれば、お役御免なの」
「どんな役なんですか」
「しょせんピンクはレッドやブルーの引き立て役なの。か弱くて敵の怪人に負けて上げなくちゃならないのよ」
「負けて上げるって、どんな役回りですか」
「ピーチ姫が強くて怪人を退治しちゃったら誰も得をしないの。だから敢えて、か弱く演じているのよ」
「いやいやァ、そんなバカな」
「じゃァ取り敢えず、ハーゲンダッツのアイスクリームを三、四個ねえェ」
「いやいや、そんな高いアイスクリームなんて予算オーバーですよ」
「おバカさんなの」
「いやいや、おバカさんじゃないですけど」
「だいたいの正義の味方はアイスクリームで出来てるのよ」
「出来てませんよ。さっきはお菓子で出来てるって言ったじゃないですか」
「正義の味方はアイスクリームのようにデリケートなのよ」
「どんなにデリケートなんですか。アイスクリームはまた今度にしましょ」
「えェ、ケチンボ怪人ね。ダーリンは!」
彼女はボクを睨んだ。
「あのですねえェ。ダーリンじゃなくって、ボクはユーマです。高梨ユーマ」
「ふぅん、ユーマねェ。じゃァ今夜からよろしくねえェ」
無理やり握手を求めてきた。
「あのですねえェ。よろしくって、まさかボクの部屋へ泊まる気なんですか」
握手に応じたものの素直には納得できない。
「ええェ、もちろんよ。ダーリンの部屋ならタダでゆっくり寝られるでしょ」
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