ただいま!

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ただいま!

 ボクの家はコンビニから目と鼻の先だ。 「フフゥン、良かった。ダーリンが優しくて」  また彼女は楽しそうにボクの腕へ絡みつけて腕を組んだ。 「あ、あのですねえェ。みんなの前で、ダーリンと呼ぶのは、ちょっと控えて」  恥かしいのでやめて欲しい。 「ゴメン。ピーチ姫は売れっ子キャバ嬢じゃん。常連のお客様の名前を間違えるとヤバいのよ」 「はァそうですね」 「だから常連さんは『ダーリン』って呼ぶことに統一してるの。みんな喜ぶしねェ」  彼女はおどけるように微笑んだ。 「はァそうですか」  別にボクだけ特別にダーリンと呼ぶワケではないようだ。 「あ、ここですよ」  ボクは自宅を紹介した。 「キャッキャ、ダーリンと二人で住むには充分ね」  ピーチ姫はボクの腕に甘えてきた。  柔らかな胸の膨らみがボクの二の腕に押しつけられた。 「いやァ、まァそうなんですけど」  良いのだろうか。  売れっ子キャバ嬢とふたりっきりで同居なんて。しかも彼女は正義の味方(ジャスティス・ピンク)だ。  ボクが玄関のドアのカギを開けると、すぐに。 「ただいま!」  彼女は明るく玄関を入っていった。  まるで自分の家のような挨拶だ。 「はァどうぞ。そっちがリビングです」  エアコンはつけたままなので涼しくて過ごしやすい。 「はァ暑い暑い」  リビングへ入ると、いきなり彼女はキャミソールを脱ぎだした。  なんとも大胆な衣装チェンジだ。 「わッ、わ、わッわァァァ!」
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