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ジャスティスピンク
『なによ。やっぱり一緒にお風呂へ入りたいの?』
風呂場の中からピーチ姫の声が響いた。
「いやいやァ、そうじゃなくって家の近所で怪人が出たらしいんです。ジャスティスピンクは出動しなくて良いんですかァ」
焦ってボクは彼女にきいた。
『ふぅん、別に構わないわ?』
なんともあっさりした応えだ。
「はァ、構わないって、行って助けないんですかァ?」
『え、そんなのムリムリ。ピンクは、ほらァ。レッドやブルーの引き立て役だから。ほとんど役に立ってないのよ』
「そ、そうかも知れませんけど一応、ピンクも駆けつけないと」
『だって、今から現場に駆けつけても一円も報酬が出ないのよ』
「え、そうなんですかァ?」
『そうよ。ふざけてるでしょ。日本の正義の味方って、完全にボランティアなの。被害者たちも助けてもらうのが、当たり前だと思っているのよ』
「いやいやァ、そんな事はないでしょ。みんな感謝してますよ」
『それに休日手当も深夜手当も出ないのよ。こっちは部屋代も滞納してるって言うのに』
「はァ」
『それで怪人と格闘になって大怪我しても、労災も降りないし入院費も自腹を切るのよ。人助けをすればするほど、キャバ嬢で稼いだ貯金や定期預金を切り崩さなきゃならないのよ』
「そ、それはかなりのブラック職業ですねえェ」
確かにそれではモチベーションも下がるだろう。
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