04. ソフィアはボクっ娘科学者だったようです。

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04. ソフィアはボクっ娘科学者だったようです。

「さて、ロリコンくん、先日話していた通り、そろそろ君は特魔隊に配属されるだろう。その前に、ちょっとした研修をしてあげようと思ってね。」 「はい、ソフィア先生!その研修では何を学ぶのでしょうか?あと、自分はロリコンじゃないです!」 ソフィアは先生と呼ばれると満更でもなさそうな表情をするため、俺は基本ソフィアのことは『ソフィア先生』もしくは単に『先生』と呼ぶようにしていた。 大恩がある相手なので、俺も敬意を込めた呼び方をしたかったので都合がいい。 何もできない俺をどうにかして、ヴォルフスガルデン砦で保護できるように取り計らってくれたことはとても感謝している。 保護されてからも、大変お世話になった。 彼女は勤務後、疲れているにも関わらず、俺に言語を丁寧に教えてくれた。 この世界の常識を教えてくれた。 飯も作ってくれた。無報酬でだ。 彼女に対して恋心を持ちかけたことは何度もあるが、『敬愛』の気持ちのほうがずっと強い。 かつての世界風でいうならば『推し』に恋愛感情を持てない現象に近い気がする。 よって、俺は彼女を最優先にすべき相手だと認識している。 さすがにこのクソでか感情をソフィアに対して伝える気はないが。 「配属後にキミが戦わなくてはいけない相手、『魔獣』を学ばせてあげよう。」 『魔獣』--- ソフィアから概要は聞いていた。都市外部では、『魔獣』と呼ばれる化け物が闊歩しており、時折、都市を襲撃することがある。 そして、彼らの脅威から都市を防衛することが、スタットベルグ軍の主な役割だ。 ちなみにソフィアは魔獣研究の分野でだいぶ活躍したらしい。 「はい!よろしくお願いします!」 元気よく返事した。 そして、日課であるマリアのお守りを放棄する。 「ごめんね。マリアちゃん。おにーちゃんは今日やることがあったみたい。」 「えーーー、」 すまんなマリア。俺にとって、ソフィアの意向が最優先なんだ。 「では、行こうか。私の実験場にキミを案内するよ。」 ソフィアと俺は食堂から移動する。 ~~~~~ ソフィアの言っていた実験場は都市部守る外壁の外側に隣接していた。 「八雲クン、今日キミには魔獣の実物を見てもらいながら、彼らの特性について教えてあげよう。 ここでは、無力化した魔獣をとらえて、動物実験を行っている。」 実験場は石造りで、獣臭が漂う独房のようだった。ソフィアは渡り廊下を進み、鉄格子のついた牢屋の前で止まる。 「この子が魔獣だよ。手を出さないでね。」 独房の中には、巨大な白い何かがいた。動物園で見る象やカバ程の大きさをしている。 ソレは、俺に気づいたようで、赤い瞳で俺を見つめる。 「この子は調教し、あまり好戦的でなくなっているが、本来、魔獣は人を見つけたら即襲ってくる。 そうゆう本能を持っているんだ。」 「だいぶ見た目が気持ち悪いですね。」 「同意見だ。彼らは個体によって大小あるが、共通の外見的特徴を持っている。毛がない白い体表と赤い瞳だ。まるでアルビノのようだね。」 俺は同意するとソフィアは説明を続ける。 「魔獣はその脅威度でランク付けされているんだ。目の前のその子は最低ランクのC級だよ。」 「この魔獣でも、かなり強く見えます。」 「確かに一般人が一人でどうこうできる強さではないね。この巨体に加えて、尋常じゃない再生力があるんだ。首を切り落とすか、頭を潰さないと数分で体が再生するんだよ。」 なんでこった、それなんてホラー? 「おれ、いつかコイツらと戦うんですか?」 「うん、残念ながらね。こんな役目を引き受けさせちゃって申し訳なく思っているよ。ただ、それだけはどうにもできなくてね・・・。スタットベルグだけじゃなく、この世界で紋章保持者は魔獣と戦うことが義務みたいなところがあるから・・・。」 強いものは弱いものを守る義務があるという話は分かる。ソフィアは悪くない。 俺はソフィアに魔獣のランクについて質問し、大体の強さの目安を教えてもらった。 ・特級 特殊能力持ちの魔獣。最も強い魔獣ランク、遭遇したら都市が滅びるレベル ・A級 50t以上 怪獣レベルの大きさ 都市の総力戦が必要 ・B級 10t以上 恐竜レベルの大きさ 紋章保持者数人で対応可能 ・C級 10t未満 マンモス程度の大きさ 一般兵でも、数人揃えれば対応可能 「・・・魔獣強すぎません?ちなみに目の前のコイツは本当に一般兵で対処できるんですか?」 「できるよ。C級レベルの魔獣限定だが、動きを防ぐ麻痺毒があってね。動きを封じてから、数名の兵士で囲めば倒せるようになっている。」 ・・・なるほど、麻痺毒か。それくらいのデバフがあれば倒せそうだ。 「ちなみにその薬はソフィア先生が?」と聞いたら、照れくさそうに「そうだよ」と答えた。 さすがソフィア、やはり実力のある研修者だったんだな。 「・・・あと、魔獣が強すぎるって話だけど、本当にそのとおりだよ。今の軍の戦力だと、A級が2体以上来たらスタットベルグは滅亡するだろうね。ただスタットベルグは地理的にB級以上の魔獣はほとんど来られないんだ。体の大きな魔獣は都市周囲の高山を越えられなくてね。だからここスタットベルグは周辺の都市で最も安全な場所だよ。」 ソフィアの回答に安心したが、もし、都市が崩壊するようなことがあれば、必ずソフィアを守ることを心に決めた。 「だけど、都市は滅ぶときは滅ぶ。八雲クンが強くなったら、もしかして、A級やそれ以上の魔獣も討伐できるかもしれない。がんばって強くなりたまえよ。」 「はい。必ず先生を守れるように、俺、強くなります!」 ソフィアは嬉しそうにほほ笑んだ。 「ボクだけじゃなく、できれば都市も守ってくれよ。」 俺は強くなることを誓った。
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