Prolog

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果たして上手な解答を得ているのか、残念ながら、私にはまだ分からない。 何度積み重ねても、分かり兼ねる。 私が望む答えはおそらく、無限軌道から外れた場所にあるのだろう。 夜に染った街を歩き、途中のコンビニで適当に弁当を選んだ。お腹がすいていたのでデザートまで買った。 ああ、お腹すいたなあ、と在り来りな感想を覚えて、どこからか漂う美味しそうな香りに釣られる気持ちに釘を打ち、いつもの帰り道を辿る。 鍵を探そうとして、あ、指でいいんだったと毎日おなじことで躓き、真新しいマンションのエントランスをくぐった。 滑りそうなほどつるんとした廊下を歩き、エレベーターに乗り込み、出迎えた扉を開き、気付く。 「ただいま、かえりましたー……」 意味の無いことを知って、暗く静かで、あまりに広い部屋に挨拶をする。 「(まだ、帰ってないんだ……)」 やってきたのは安堵。急激な空腹。 「いないうちに、ご飯済ませよ、っと」 ひとりに気を良くした私は、リビングを明るくした。
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