鹿見山の思い出

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「そういや、見笠山で遊んでいた時、大事件あったなー」 悠馬が懐かしむように、それでいて照れを隠すように軽く笑う。 そう、忘れもしない。いつものように鹿見山で遊んでいた時のことだ。 当時、政信(まさのぶ)君という友達も一緒に、かくれんぼとか鬼ごっことかしていたと思う。 ふと、足元に見慣れない白い大きな棒が落ちていることに気付いた僕は、拾い上げてみたのだった。 みんなと合流して棍棒(こんぼう)代わりにして見せびらかしていると、ふいに真治が問いかけてきた。 「それって、人の骨じゃない?」 それを聞いた僕は、怖気づいて瞬時にその人骨らしき物を手放し、洋服で手を一生懸命拭ったのだった。 無造作に地面に転がっている白い棒は、見れば見る程、人の骨のように見えてきた。 四人は一気に恐怖のどん底に陥って、一目散に家に帰ると、布団に包まって眠れない夜を過ごした。 あとで父親に見に行ってもらったら、鹿の骨だったと言っていて安堵したことも覚えている。 今となっては笑い話だし、いい思い出だ。
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