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「でも、例の黒服、世界的なデザイナー、ヒューゴ・ボスによって生まれたのでしょう? 時期がボスの単独のデザインとしては早すぎるという説もあるけれど、あの制服はやっぱり美しいと思う。やったことは絶対に許されないとはいえ……」
「それがわかっているなら、治子はやっぱり賢い子よ。軍服や兵器って恰好いいでしょ……なぜだかわからないけれど。でも機能美の極北、そんな感じがしない?」
わかります、と治子はちょっとばつが悪くなった。マルセルにあんなこと言って、生意気じゃないかしら、とも。
「思うんだけど、本当の平和っていうのを考えるときに、人間……いや、ヒト科って表現すべきかもしれないわね……そういう軍服や兵器や銃器が恰好よく見える、そういう本能的側面もあるんだってわからないとそれって戦争よりも怖いなって考えることがあるのよ……通じるかしら」
ええ、よくわかります。治子は内心で聖パルーシア学園の特殊部隊、アンティセプティック・チームでの軍事行動を思い出していた……機能美! 本当にそうかもしれない……と。
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