Secret Meeting

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Secret Meeting

𓂃𓈒 ❅ * 夜中、ふと、頬を撫でられた気がした。 最初は気のせいかな、と思ったけれど、何度か髪の毛に指を通されて、現実だと気づいた。 しかし、ほんの少し脳は覚醒しても、目を開ける気力はない。 誰と一緒?……彼氏、だっけ。 え……彼氏……彼氏は、……思い出したく、ない。 夢と現実の狭間で、朧気な記憶を辿る。 肌触りの良いブランケットと、柔らかなこの花の香り。間違いなく東雲の家だ。 ……てことは、東雲が?いやいや、無いでしょ。 あれ?でも待てよ。 そういえば、東雲が彼氏になったんだっけ。 だったら、ワンチャンある? いやいやいや、あの東雲に限ってそんなことない。 有り得なさがツボに入って、思わず笑った自覚がある。 「……夢だろ、これ」 うん、夢だよねー…… 聞き覚えのある声に心の中で頷く。 「全然寝れねえ……」 何言ってんの、明日も仕事だよー…… 「……おやすみ」 おやすみー…… 額に触れた熱にリアクションを取るより先に、ことん、と眠りに落ちた。 あれは本当に、夢?
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