花より団子、団子よりきみ

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私たちの付き合いは怖いくらい順調だ。 今のところ会社の同僚にも怪しまれていないし、お互いの家にはお互いの持ち物が増えている。 金曜恒例の1週間お疲れ会のあとは必ずお泊まり。おそらく今日もそのパターンが確定されている。 楽しい。とにかく毎日が楽しい。 「いらっしゃ……お、シノ、柑花ちゃん、いらっしゃい」 金のわらじの暖簾を潜ると、炭火焼きの煙とタレが焦げ付いたいい匂いが出迎えた。カウンターの向こう側にいる佐々木さんに「こんばんは、佐々木さん」と私が会釈したのと「……うわ……帰ろう」と、失礼なことを言う東雲の声が重なった。失礼極まりない。 「何言ってんの、ここまで来てそれは無いでしょ?」 「じゃあテーブル席にしよう」 「 はあ?」 誰に言われたわけではないけれど、1人の時も東雲と一緒の時も毎回カウンター席に座っている。必然のクエスチョンを頭上に乗せていれば、「琥珀く〜ん、おつかれ〜」と、男性の声が耳に触れた。 東雲の視線は私の向かい側にあった。東雲が表情筋を駆使して嫌悪を作り出すのを目の当たりにした後、ゆっくりと東雲の目線の先へ向けた。 カウンターに並んで座る二人の男性。一人は中性的な顔立ちで黒髪をセンター分けにした人で、全く知らない人。もう一人はハイトーンの金髪が眩しいマッシュヘアの人。この人は以前写真で見た顔だ。名前は、確か……。 「……莇さん?」 記憶を頼りに名を呼べば、莇さんともう一人は、二つ分席を開けながら「正解。いや〜びっくり。本当にカンナだ」と、何かに納得している。謎だ。 「え……はじめましてですよね?」 「そういうことにする」 どういうことだろう。
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