プロローグ

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何が間違ってたんだろう。何を間違えたんだろう。 何がダメだったんだろう。何でダメになったんだろう。 考える自分が馬鹿らしく思えて、男目掛けてキーリングを投げつけた。 「それ、もう要らない」 凍ったように動かない二人に埒が明かず憤りが募る。ベッドに落ちたままのそれを拾う気にもなれず、かと言って、仕事帰りの疲れた身体で、この二人を視界に入れるメンタルもない。 分かってる。いくら鈍感な私でも、これがマッサージじゃないことも、自分にこの人と今後良好な関係を築けるほど寛容な心を持っていないこともわかる。ということは。 「……別れよう」 私が望んだ恋愛は、またしても、最後の恋とは程遠かったらしい。 「待って、」 彼の声を聞かずして私は踵を返し、足早にマンションを立ち去った。 小走りになりながら雲一つない空を見上げる。空にぽっかりと浮かぶ満月が、涙の膜で揺れていた。
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