216人が本棚に入れています
本棚に追加
その後割り勘で居酒屋を出ると帰路についた。割り勘と言っても、大体は千円多めに東雲が出してくれる。
「あ、コンビニ寄っていい」
「いいよ、何買うの?」
「ゴム切らしてた」
なぜ今買う……。
東雲はマイペースでほとほと困る。
「……一人で買ってきて……」
「ん。必要なものある?」
「お泊まりセットは用意してるし、要らない」
「了」
コンビニへと吸い込まれていく東雲の背中を見送る。
ちなみに、身体的接触と言っても軽いボディタッチの程度。
小突いたり、叩いたり、抓ったり、頭を撫でられたり。
決して、一線を越えた関係ではないのは明言しよう。
「(ていうか、そんな空気にならない)」
東雲には好きな人がいる、というのは同期の間では有名な話だ。
本命の子がなかなか振り向かないから、代用のように別の子と付き合っている。東雲は、誰の得にもならないような恋愛をする馬鹿で、鬼畜で、不器用な男。
最初のコメントを投稿しよう!