プロローグ

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その後割り勘で居酒屋を出ると帰路についた。割り勘と言っても、大体は千円多めに東雲が出してくれる。 「あ、コンビニ寄っていい」 「いいよ、何買うの?」 「ゴム切らしてた」 なぜ今買う……。 東雲はマイペースでほとほと困る。 「……一人で買ってきて……」 「ん。必要なものある?」 「お泊まりセットは用意してるし、要らない」 「了」 コンビニへと吸い込まれていく東雲の背中を見送る。 ちなみに、身体的接触と言っても軽いボディタッチの程度。 小突いたり、叩いたり、抓ったり、頭を撫でられたり。 決して、一線を越えた関係ではないのは明言しよう。 「(ていうか、そんな空気にならない)」 東雲には好きな人がいる、というのは同期の間では有名な話だ。 本命の子がなかなか振り向かないから、代用のように別の子と付き合っている。東雲は、誰の得にもならないような恋愛をする馬鹿で、鬼畜で、不器用な男。
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