32 はじまりの後悔

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 そのように過ごして三日経った朝。カリマは、村の入り口で立ち尽くす二人の男に気がついた。二人とも大きな荷を背負い、大きなマントで全身を覆っている。旅人のようだ。 「おじさん達、どうしたの?」 「この村で、ネクロザール王に対抗するため弓術を教えていると聞いてね、わしらみたいなよそ者では駄目かね?」  カリマの琥珀色の目が輝いた。 「おじさん達、弓を習いたくてここまで来たんだ? あたしに任せな!」  少女は笑顔で二人の旅人を、村に案内する。  自分たちの行いが、見知らぬ人にこうやって広がっていく。しかも弓は、カリマの得意とするところ。自然に胸が熱くなってくる。  奥の広場では、セオドアが剣術を指南していた。 「セオドア。この人たち、わざわざ遠くから弓を習いたくて、来てくれたんだよ」  剣士は、笑顔のカリマと目が合うなり、眉を吊り上げた。 「女! そこを退け!」  男は、狼のごとく素早くカリマを突き飛ばし、旅人の一人の首を斬りつけた。あたりに鮮血が飛び散り、旅人は絶命した。
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