33 誇り高い剣士の過去

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「そ、それはないんじゃない? 間違いで人を殺したら、魔王と一緒だよ!」  カリマは立ち上がり、セオドアのチュニクの胸元を掴んだ。  ホアキンは慌ててカリマをセオドアから引き離す。 「カリマちゃん、気持ちは分かるけど、我慢して。コイツ本当に危ないヤツだから」 「あたしは、敵かどうかわからない人に矢は撃てない」  セオドアが目を剥く。 「師よ! なぜこんな女を加えたのですか!」  成り行きを静かに見守っていたエリオンが立ち上がった。 「セオドアよ。カリマよ。我ら三人だけで語り合おうではないか」  巻き毛の美青年が松明を手に取り、剣士と狩人を促す。  二人は渋々と師に従った。 「エリオンさまー! カリマちゃんをいじめないでね!」  三人はホアキンの呼びかけを背にして、林の奥に入っていった。
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