33 誇り高い剣士の過去

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 睨み合う男女にエリオンが語りかける。 「セオドアよ。私は戦いにおいてお前を信じている。今朝、魔王の刺客を倒したお前の働きは見事だった」  カリマは、エリオンがセオドアを庇ったため、頬を膨らませる。 「お前は正直な娘だ。素晴らしい美徳ではあるが、戦いにおいては、セオドアに従ってほしい」 「エリオン様、でも……」  巻き毛の美青年はカリマをなだめ、精悍な剣士に向き直る。 「セオドアよ。お前がなぜ我らと共に旅をするのか、カリマに聞かせてやってくれないか」 「この女に私の話が理解できるとは、思えませんが」 「あんた、いくら強くたって、失礼だよ!」 「セオドアよ。我らの旅は、心を一つにしなければ成し遂げられない。わかるな?」  剣士は、気難しい顔をして拳を握りしめた。 「師がおっしゃるなら……」  セオドアは、自らの過去を語り始めた。
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