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エリオンが振り返る。
「ニコスか。気がつかなかった。いつからそこに?」
「申し訳もありません。師に何かあればと気がかりで、勝手について参りました」
六人の男戦士はみなエリオンを崇めているが、この中年男の忠誠心は群を抜いているようだ。
カリマの亡き父と同年代の男だ。セオドアのように怒鳴ることはない。
「セオドア。師は、凡俗である我らには見えない何かを、カリマ殿に見いだしているのだろう。それで良いではないか」
ニコスはセオドアの肩を軽く叩いた。
カリマはニコスの言い方に引っかかりを覚えたが、エリオンに笑顔を向けられ、忘れてしまった。
「さて、そろそろ私は休みたい。カリマ、私の傍においで」
戦士達の師匠はカリマの手を取り、二人の男をあとにした。
少女は荷袋からマントを取り出して身を包み、草むらに横たわった。
エリオンが寝そべるカリマに身を寄せてきた。
「少し冷えてきたな。いいか? このままで」
青年の温もりが少女の腕に伝わってきた。
またカリマは眠れない夜を過ごすこととなった。
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