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気の合う相手と手持ち花火をしながら語り合えば、仲良くなるスピードも加速するし、ロマンチックだからカップル成立も増えそうなのだが、架くんの指摘通り、天気を心配している。
梅雨明けしているので大丈夫だろう。そこはある意味賭けだけれど。
「あ、そうだ。よそで面白いイベントやるみたいだよ?」
「なにそれ!」
私の隣で椅子に腰を掛けつつ、架くんがニコニコしながら話し出すと、社長が即座にそれに食いついた。
「肝だめしイベント。廃墟で男女がペアで探検するんだって。最初に自己紹介タイムがあって、そのあとフリータイムで肝だめしするらしい」
それもまた夏らしい企画だ。
私は幽霊とかオカルト系は怖くて苦手だけれど、好きな人もいるだろう。
それに、異性と一緒に恐怖体験をすると恋愛に陥りやすくなるという“つり橋効果”もある。
「わざわざ廃墟を探して借りたのかしら? 手が込んでるわね。どこの会社?」
「リーベ・プロデュース」
「あそこか」
架くんから企画したイベント会社の名前を聞いた社長が、眉をひそめながら視線を下げた。
「あのぅ……リーベ・プロデュースって、そんなにすごい会社なんですか?」
勉強不足な私は、その社名を耳にしても全然ピンとこなかった。
首をかしげながら素直に質問してみると、社長が苦笑いの笑みを浮かべた。
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