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「架のことじゃないわよ。葉月をもっとかわいくしようと思って話してたの。素敵な恋人を見つけてほしくて」
社長、そんなことは考えなくてもいいです。忙しい社員のためにも違う方向に力を使ってください。
「葉月は化粧も薄いからね。……それ、化粧してる?」
「してますよ。薄いのは認めますけど」
私個人としてはスッピンでも構わないが、一応ここは会社だ。
来客の対応もあるから、それなりに薄く化粧はするようにしている。
ナチュラルメイク……というにはおこがましいほどの薄さだけれど。
「どれどれ? ……メイクしてるよ。 アイラインも入ってる。元々肌が綺麗だから、ファンデは薄くてもいいんじゃない?」
架くんが突然私の顔を覗き込み、至近距離でチェックしてきた。
架くんの顔が男の人にしてはすごく整っているのは、さすがに恋愛音痴な私でもわかる。
スッと通った高い鼻筋と、やわらかそうな薄めの唇。それに、やさしそうな瞳をしている。
バランスの取れた綺麗な顔立ちだと思う。
程よく茶色がかった癖のある前髪が、額を覆っていてカッコいい。
そんな綺麗な顔が至近距離にあると意識すると、どんどん自分の顔が紅潮していくのがわかった。
「派手な女より全然いい。葉月さんは元がかわいいんだから」
「ちょっと架、派手な女って私のこと言ってるの?」
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