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四
「ただいまぁ」
鍵を開け、ポツリと呟く。
疲れ切ったカスミは、化粧も落とさずにソファに倒れ込んだ。
こんな生活が三年間続いていた。
「疲れたよぉ」
心の声が、全て口から漏れていく。
「そうだ、母さんに会いに行こう」
カスミは自分の部屋に行き、アロマキャンドルに火をつけると、母の人本を読み始めた。
本来人本の近くでは火気厳禁なのだが、ストレス過多のカスミはその判別ができなくなっていた。
「これ、すごくいい香りだなぁ」
カスミはうとうとし始めた。
「母さんも、きっと好きだろうな……」
その後も何かをブツブツと一人でしゃべっていたが、疲れ切った彼女は、人本を本箱に戻すとベッドに飛び込み、眠りに落ちてしまったのだった。
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