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* * *  気が付くと、カスミは病院のベッドの上にいた。それから諸々の検査を済ませ、家に帰れたのは数日後だった。  火傷の痕をかばいながら、やっとの思いで家に付くと、家は全焼していた。  真っ黒な家の骨組みが丸出しになっていて、周りにある建物を見ないと、そこがカスミの家だということが判断できなかった。 「全部、燃えたのね……」  カスミはその場で立ち尽くした。  火の不始末で人本を燃やしてしまったとなれば、『古書収集家』の資格の剥奪は時間の問題だった。  これからは、もう本の中でも家族に会えないのだ。そのことがカスミの心に暗い影を落とした。 ――最後に見た母は、私の幻覚だったのだろうか。 そう思ったとき、カスミの唯一の持ち物であるスマホが鳴った。 「――リョウコが!?」  カスミはボロボロの身体を引きずって、総合病院まで走った。
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