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「――リョウコ!!」  カスミは彼女の病室に飛び込んだ。  何と、リョウコが奇跡的に目を覚ましたのだ!! 「……心配かけてごめんね。カスミ」  二人はお互い泣きながら、抱き合った。 「もう、三年経ったんだね」 「うん……。リョウコ、びっくりしたでしょ」 「そりゃそうよ。起きたらアラサーなんですもの」 「ちょっと、リョウコったら……」  そして、リョウコは少し顔をしかめると、カスミの周りをクンクンと嗅ぎ出した。 「ねぇ、カスミ。何か、焦げ臭くない?」  カスミはギクッとした。  家が全焼したから、リョウコの持ち物も全て無くなってしまったのだ。 「ごめん、リョウコ。実はね、家、燃えちゃったの」 「……え?」 「全部燃えたの」 「……いつ?」 「三日前」 「……アラサーになったことより、びっくり」  リョウコは目をまんまるくし、少し唸ってこう言った。 「まぁ、カスミが無事で良かったよ」 「……本当にごめんね」 「ねぇ、カスミ?」 「なぁに?」 「……もし私が今回みたく目覚めなくなったら、今度は迷わず人本にして」 「――人本はだめ!!」 カスミは病院中に響き渡るくらい大きな声で叫んだ。 「人本はダメだよ……。だって、燃えたら何も残らないもの……。人本になっちゃダメ!!」 「カスミ、もしかして……」 「うん。四冊全部、燃えちゃったの」 「そうか……。おいでカスミ」 リョウコは両腕を大きく広げた。 そしてカスミはその胸に飛び込んで、堪えていた悲しみを吐き出すように、泣いた。
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