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三
「意識が戻らないってどういうことですか?」
「――ですから、打ち所が非常に悪く」
「――そういうことをお聞きしているんじゃないんです!」
カスミは目に涙をいっぱいにためて叫んだ。
彼女の傍にはたくさんのチューブに繋がれて、何とか命を繋いでいるリョウコの姿があった。
「……画期的な治療法が確立されない限り、半永久的に目覚めないでしょう」
カスミは目の前が真っ暗になった。
家族を幼いころ失ったカスミは、リョウコが唯一頼れる人物だった。
そのリョウコが半永久的に目覚めないことを知ってしまったカスミは、絶望に打ちひしがれた。
「りょうこ……。そんな……」
カスミはその場に泣き崩れた。
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