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成層圏を抜けるとオーロラが確認できる。
流星が一筋流れ落ちる。
流星とは宇宙の塵なのだそうだ。
塵でもあんなに輝くことが出来る。
大気と衝突して光ることが可能なら、オレも地上から見れば流星に見えるかもしれない。
戦争の爆撃でも花火に見えるし、そのものの本質がどうあれ、そこにロマンチシズムを投影できれば、本質の悲しさなど知らなくても幸せを感じることが出来るということだ。
運転席には母親の大切にしている髪飾りの欠片が落ちていて、助手席には女の子の絵本がある。
母子にとってモビリティでしかなかったオレは流星になることが出来るかもしれない。
その事がどういうことか理解できるほどの複雑な分析能力はオレにはないが、悪いことではないと思える。
よし、加速だ
まだだ…!まだまだ、こんなものじゃない…!
オレのスピードはもっともっと速く速くハヤクハヤクなるはずだから。
この体には銀河系随一のエンジンが組まれている。
流星が消えるように、彗星がどこまでも光の帯を伸ばすように、キラキラと音を立てて走り抜けたい。
そして、いつかこの髪飾りの欠片と絵本を届けにいくんだ。
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