1人が本棚に入れています
本棚に追加
空から放たれる光の筋の向こう側には何が見えるのか。
この暗闇を抜けると何が見えるのか。
バチバチとヒューズが音を立てる。
チッ
行き先を決めるのは、限界を決めるのはいつもこうしたクソみたいな劣化だ。
だから苦痛に身をよじる時間もない。
漂わせるのは分裂した素粒子だけで十分だ。
点滅する信号、分断された道路、今日はきっと雨が降るだろう。
あの日もそんな雨の日だった。
運転席には母親、助手席には女の子。
オレは気ままに陸を空を闊歩し、2人を運んだ。
設定速度は55キロ。
今日のミュージックは自動生成ドライブミュージック。
オレはミュージックに乗せ時折小刻みにボディを揺らす。
女の子はその度に小さな笑い声を発する。
真から心地よい声は音だけじゃなく世界を彩る色彩となって視界をカラフルに染める。
そんな心地よい時間は永遠に続いてもらいたいと思えるものだ。
しかし、その色が一瞬にして灰色に染まる。
最初のコメントを投稿しよう!