さよならモビリティ

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 空が激しく光り、大きな衝撃音と爆風にオレのボディが吹き飛ばされる。  ドアは全て開かれ、ボディが何回転も回転し、どこかのビルに叩きつけられる。  …それからどれくらいの時間が経ったかわからないが、オレの意識が再起動したときには視界に入る何もかもが形を変えていた。  おそらく夜なのだろうが、周囲は全て暗闇。  そして静寂。  遥か遠く、所々に電力が通っていることを示す光を感知することが出来るが、これまでの光の量とは比較にならない僅かな灯火だ。  この世界に何が起こったのかわからないが、周辺に人の気配は感じられないし、何かが動いている気配もない。  オレの運転席と助手席にも誰もいない。  あの爆風や回転では人間の体はどこかに投げ出されたのだろう。    運良くボディはタイヤを下に着地しているので、動くことは出来るが、さてどうしたものか。
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