第1章

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「琉凪様、大丈夫ですか?」  立ち尽くしたままの私に声をかけてきたのはいつも気にかけてくれているメイドだった。本来メイドは主人の子供などに話しかけては行けない。 「ええ、大丈夫よ。ありがどう」  そう返し琉莉が連れていかれた方向へと歩き2階へ上がる。琉莉の部屋の扉が勢いよく開き母が出てきた。私に気づいたのか母が私の方へ向かってくる。身動きの取れなくなった私の前に立ち止まり母は一言だけ言い残す。 「貴方は私たちの邪魔なんだからなるべく迷惑を掛けないでくれないかしら」  耳元で呟き母は階段を降りる。母の足音が聞こえなくなり、私は自分の部屋へと歩を進め静かに扉を閉めた。  母達は私の事が嫌いだ。私は琉莉ほど秀才ではないし、琉莉見たく魔法が上手いわけでもない。けれど、琉莉はそんな私の事を好きでいてくれる。それが母達は気に入らない。だから、日に日に琉莉の勉強時間は増え続け私への扱いは邪魔者へと変わった。
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