第2章

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「こんにちは、申し訳ないのですが、いくつか質問をさせて貰ってもいいですか?」  私が訪れたのは由菜ちゃんの両親宅だ。昨日は淡々と話をしてくれたのだから、これ以上の収穫はないだろう。それでも、探りを入れるにはいくつかの質問という形で何かのヒントを得なくてはならない。  自分で言ったは言いものの、私は一切こんな芸当をしたことが無い。 「どうぞ、中に入ってください」  快く受け入れてくれたが、父親の顔は一瞬歪んだように思えた。 「それで、質問ってなんですか?昨日お話したと思うんですが……」 「すみません。お辛いのに連日押しかけてしまって」 「いえ、それはいいんです。由菜が見つかるのなら……」  言葉は由菜ちゃんを本当に見つけたいと心から願うような必な声を母親は漏らした。 「昨日もいろいろなお話を聞かせてもらったのですが、由菜ちゃんは魔法が使えましたか?」 「え?魔法、ですか?」 「はい」 「いえ……由菜はまだ魔法が使えませんでした」 「では、周りのお友達などで魔法を使える子がいるなど聞いたり見かけたりしたことは無いですか?」 「どうでしょう。あの子の交友関係はそこまで広くなくて……」 「なぜかお聞きしても?」 「あの子、外に出るのは私と一緒の時ぐらいなもので……魔法を使えるようなお友達もまだいないと思います」 「そうでしたか。お辛い中ありがとうございました」
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