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えーと、どちらさま?
眉をしかめたのに、相手は微笑んだ。
「やっぱりそうだ。同じクラスだったの覚えてる? オレ舞野」
「……あー! まいちゃんかあ!」
「うわなつい。久しぶりに呼ばれた。てか覚えてないのひどくね?」
「いやだって、え? 背、めちゃ伸びたね?」
舞野友也。中二の時に同じクラスだった。
舞野はクラスの男子のなかでーーもしかしたら学年で1番だったかもーー背が低かった。
女子平均身長の私より低く華奢で、ダボダボな制服が妙に似合う童顔なのも、ぜんぶ可愛いって感想につながった。
それがどうして。何がどう伸びたのか。
今はちょっと見上げるくらい背が高いし、体つきもガッチリしている。
声も低いし顔つきもしっかり男の人……これが成長期か。
人体の不思議だなぁって感心しちゃうよ。
「まあね。最近まで成長痛えぐかった」
「すごいねーもうまいちゃんって呼べないや」
「呼ばなくていいから」
ふはっとはじかれるみたいに声を出して、大きな口で笑うのは一緒だなんだ。
うん、サイズ感はちがっても、舞野の笑い方は変わらない。懐かしい。
ただ……どうせ再開するなら、バスケ部とかバレー部の人気者さんに会いたかったかな。SNS映えって意味でね。
内心で失礼なことを考えていたら「あのさ」と前置きして、舞野は脇に抱えていた小さめの段ボールを差し出した。
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