3. 動物病院

2/3
前へ
/11ページ
次へ
 そういえば、と思い出したことがある。  私が猫を飼ってること、舞野はよく覚えてたな。  猫話で盛り上がった覚えはないけど、まあココの下僕(猫に骨抜きにされた飼い主のこと)である私の猫バカは年中無休だし、どこかで一方的に語ったのかもしれない。  舞野自身も、もともと猫に興味があって、それで記憶に残っていたんじゃないかな。  しかも、可愛かったというポジティブな記憶が。    じゃなきゃ迷いつつも捨て猫を拾って、面倒がらずに病院まで大事に運ぶなんて、できないと思う。  本来なら責任は捨てた飼い主が負うべきで、舞野は巻き込まれただけだ。  なのに途中で投げ出さない。    こう考えていくと、舞野はかなり下僕の適正がありそうだ。 「舞野の家に行けるといいね」  眠っている子猫につぶやいたところで看護師さんから声がかかる。  ちょうど戻ってきた舞野と一緒に診察室へ急いだ。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加