3. 動物病院

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 結論からいうと、子猫はやはり弱っていた。  猫風邪をひいていて、鼻が詰まり目垢が増えていたのだ。  鼻詰まりのためか、子猫用のフードを見せても首をかしげている。  乳離れは終わってそうなのにな、と先生が指にフードをすくって子猫の鼻先に持っていくと、やっと舐めるように食べはじめた。  その場の緊張が少しほころんで、診察室の空気が明るくなる。    先生が丁寧に猫風邪とシラミに対するケアの仕方と、薬の与え方について説明をしてくれた。  全てが終わったのは、満腹になった子猫がまた眠りはじめたころだった。  * 「ご連絡先はどうしますか?」  お会計に呼ばれ財布の中身を確認していると、受付のお姉さんが私たちに尋ねた。  問診票の飼い主欄が空白のままだからだ。  とりあえず私と私の親の名前を書いておこうとボールペンをつかんだら、「オレが書くよ」と舞野が問診票を手に取った。 「大丈夫?」 「大丈夫……」  それなら、と一歩引いて、舞野が空欄を埋める様子を見る。  ゆっくり丁寧に、一文字ずつ。  自分が責任を持つんだと噛みしめるような書き方だった。
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