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神付家の大団円
皆が帰ったのにも気付かず
ソファーで、ぐっすり眠ってたらしく
「ゆず…ただいま。こんなとこで寝てたのか?」
瑞紀の声だ…
「お帰り…瑞紀」
「もう少ししたら、警察の人達来るよ?ゆずは、話すの大変そうなら、また今度にしてもらおう?」
「ん…大丈夫」
ゆっくり起き上がると
「痛みは?ちゃんと休んでた?」
「そんな酷くないよ。休んでたんだけど、皆がお見舞いに来てくれて、話してるうちに、眠ってたみたい」
「そっか…ゆずのパジャマ姿見られたか…」
「え?」
そこ?
今の話の中で気になったのは、そこ?
「警察の人達が来る前に、パジャマじゃなくて、部屋着に着替えような?」
「同じじゃない?」
「違うな。パジャマ姿のゆずなんて、可愛い過ぎて、誰でも彼でも見せる訳にはいかない。さて、部屋着を取って来るか」
普通のお兄ちゃん…そんな事思うかな…
なんかもう…
過保護ってレベルじゃない気がする
部屋着に着替えた俺達の元に、警察の人達が来て
何度も、それぞれに確認しながら話を聞いていく
細かく聞いて、メモって…
大変なんだなぁ…
「まだ大変な中、ご協力ありがとうございました」
「いえいえ。ほんとに、うちの子が無事帰って来て良かったわ~」
「っ!…は…はい」
?
なんで、この警察の人、ちょっとオドオドしてるんだろ?
警察の人達が帰った後、夕食の準備が出来て
「ただいま~!ゆず~!」
「わっ!お帰り、父さん。なんで、抱き締めてくるの?」
「ゆず~。1人で家帰ろうとすると、昨日の事思い出しちゃって…ゆず~」
「大丈夫だから…父さん、ご飯食べようよ」
「痛くなかったか?」
「うん。痛み止め飲んでれば大丈夫」
「そうか」
と、いう事で、ようやく夕食
「いや~。今日1日、父さん人気物だったぞ~。瑞紀もだろ?」
「休み時間の度、群がられた」
「あら…ゆず、学校行くの楽しみね?」
「全然楽しみじゃないよ!誰か知らないけど、情報提供するなら、もっと別の写真にしてよね?!」
「あら~…あれが1番可愛いくて、皆に覚えてもらえると思ったのよ~」
………え?
「い…今…母さん…なんて…」
「なんだ。母さんが、黒にゃんこゆずの写真提供したのか。流石だよ、母さん」
「……はあ?」
「心優、いつの間にそんな事まで…でも、あれは確かに可愛い。自慢の息子だ」
「でしょ、でしょ~?」
「ちょっと待って!母さんが、あの写真提供したの?!」
「そうよ?黒にゃんこちゃん以外は、知らないわ?」
息子が誘拐、監禁されて
命の危機に晒されて
その、被害者の写真…
黒にゃんこにする?!
「なんで、普通のにしてくんなかったんだよ?!」
「だから、可愛いくって、覚えてもらえるでしょ?」
「あんな写真覚えてて欲しくないよ!」
「いや…実は俺、携帯のGPSだけじゃ心配でさ。何かないかなぁと考えて、とりあえずキーホルダー型のGPSも、ゆずに付けてもらってたんだけどさ…」
「はあ?」
キーホルダー型…って…
「あの!ベルトに付けてって言ってたやつ?!」
「そう。でも、あんなのより…日本中の沢山の人に強烈なインパクトを与えたから、これからは、あの黒にゃんこちゃん捜索中…って出すだけで、全国から情報が手に入るな。流石母さん」
「はっ?!」
「なるほど~。ゆずは可愛いからな~。日本国民みんなに守ってもらうくらいじゃないと、確かに心配だもんな…心優、流石だ!」
「やだも~!そんなに褒められたら、照れるわ~」
変わってるとかいうレベルじゃない
息子のあんな姿公表されたら
悲しんだり、訴えたりする親居るかもしんない
なのに…その親が提供してた…
「……ご馳走さま」
「あら、ゆず。怪我してる時は、もりもり食べて、回復する体力付けなきゃ!唐揚げさん、もっと食べて?」
「なんか…もう、胸がいっぱい」
「そりゃ、良かった。ゆずは、沢山の人に愛されてるからなぁ…でも、なんか…そんな嬉しそうじゃないな」
その通りだよ、父さん…
別の意味で、胸いっぱいなんだよ
「なんか今日来た警察の人、若干母さんに怯えてなかった?母さん、あの人に何かしたの?」
そうだ…
俺もそれ、気になってた
「あの人はね~…お母さんが、救急車来るまでの応急手当するために、ゆずのとこ行こうとしたら、現場がどうのこうの…上の指示がなんちゃらって言って、通してくれなかったのよ~」
「あ~…なんか、そういうのめんどくさそう」
「だから、お母さん言ったの。あなた若いのに勇気があるのね?って」
「勇気?」
俺を含めて、父さんも瑞紀も、頭ん中は?だ
「そ。こ~んな大きな事件の犯人を逮捕出来たのに、応急手当の出来る看護師を通さなかったせいで、あの子に万が一の事があったら、全てあなたの責任ね?って。警察は、犯人さえ逮捕出来ればいいのか?って、明日は、あなたの記事とニュースで、さぞかし賑やかになるでしょうね?って」
「「「……………」」」
颯爽と現れた母さんは…
その前に
警察の人脅してた…
「良かったわよね~?ゆずも無事。あの人も無事解決出来て♪︎」
「そっ…そうだな」
「流石だよ、母さん」
俺は…何も言えなかった…
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