神付家の大団円

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衝撃的な事実を知った なんとも言えない気持ちになった夕食を終え 俺と瑞紀がソファーに座ると 「ん?これは?」 瑞紀が、テーブルの上に乗ってる紙に気付いた 「今日、佐野達が来た時に、佐野が他の友達や母さんに、説明するのに書いたんだよ」 「ふ~ん?…これ、昨日の金庫のダイヤル番号なの?」 「そうだよ」 「ふっ…なるほどな。だからゆずは、すぐに覚える事が出来たんだ」 「…え?瑞紀も完全数知ってたの?」 「……まあな」 何…今の間 まあ、瑞紀なら、知ってても別に不思議じゃないけど… 「あれは…ゆずが中1の頃だったろうか…」 「え?何?急に…」 「次の日が、土曜日というのもあって、油断したんだろな?朝、全然起きて来ないから見に行くと、机に突っ伏して寝てた」 「?…だから、急に何?」 完全数の話、どこ行ったの? 「ゆずの顔の傍には、書きかけの物語…」 「え?」 「何だったかな…確か…4桁までの完全数くらい覚えておいてくれ。たった4つなんだから」 「……え?」 「6、28、496、8128。これ位なら覚えられるだろ?だったかな?」 「なっ…なんでそれ?!」 「だから、ゆずを起こそうとしたら、見えちゃったんだよ」 「んなっ?!」 知らなかった! 普段、ミステリーとか書かないのに なんか書いてみたくなって 結局、全然いい物語書けなくて、途中で挫折した……あれを、読まれてた! 「ん?なんで、そんな顔赤くなってんだ?」 「あれは!ちゃんと完成してない!ってか…失敗作の未完成で…なのに、勝手に見ないでよ!」 「たった何行か見えただけだよ」 「それでも!そんなの見られたら恥ずかしいの!」 「へぇ~…ゆず、未完成の作品見られると、こんな可愛いくなるんだ…覚えとこ」 「え…」 なんか… 余計な情報を与えてしまった様な… 「次はゆず、いつ物語書くのかなぁ…未完成になんないかなぁ…」 「なっ…ならない!…ってか、見に来るな!」 「え~?ゆずの頭の中知りたいじゃん?いつになったら、キスとかする物語書く様になるのかなぁ…とか」 「キッ…?!そっ…そういうのは書かないの!」 「ふっ…かわい…」 そう言って、ぎゅっと抱き締めてくる 「んむっ?!離せよ!」 「やだ」 「やだじゃない!」 「ゆず…早く気付いてやれなくて、ごめん。そんな怪我する前に、助けてやれなくて、ごめん」 「……それ、昨日聞いたよ?ちゃんと助けに来てくれたじゃん」 「そりゃ…いくら瑞紀先輩だって、高校生だしな…」 そう 瑞紀は凄いけど 俺と同じ高校生 たった1歳しか違わないだけ なのに…必ず… 「もっと…いい方法あったかもしれない…もっと早くどうにか出来たかもしれない」 「瑞紀は、警察でも探偵でもないよ。警察騙すなんて、とんでもない事までして、助けてくれたじゃん?」 「冷静にって…思ってたけど…どこかで焦ってたから…どうしよう…ゆずに何かあったら、どうしよう…って……」 瑞紀が、こんな弱み見せるなんて… 俺が目覚めた時も、泣きそうだった 「そんなの当たり前だよ。俺もね、怖いって思ったら、もう何にも考えられなくなりそうで…物語の主人公になってた」 「ゆずの書いた物語?」 「適当。とにかく…犯人との頭脳戦に勝って…無事救出される主人公……けど…警察来てくれたのに…出て行っちゃって…ナイフ…刺された時は……」 「ゆず…」 今さら… 体が震える 「ちょっと…ダメかもとか…思ったけど……でも、警察来てくれたって事は、瑞紀が居る。佐野が救出されたって事は、今の状況分かってる。だから…絶対どっちか、俺のサイン気付いてくれるって思った」 「うん。佐野君から聞いて、すぐに分かったよ。ゆずは、ちゃんと最後のチャンス…残しといてくれたんだって…怖かったのに、よく頑張ったな?」 「~っ…」 怖かった 凄く怖かった だって… 俺より大きな佐野、一撃で… 力でなんか到底敵わない 頭使うしかない 「~~っ…瑞紀っ…怖かった」 「うん…凄く怖かったな?」 「んっ…っ…凄くっ…凄くっ…怖かった…」 「なのに…ゆず、凄く頑張った」 「んっ…頑張っ…た」 「凄いな?ゆず…」 1歳しか違わない俺のお兄ちゃんは よく道に迷う俺を探さなきゃなんなくて トイレ行くのも心配になっちゃうくらい 手のかかる弟で なのに… 全然呆れて離れて行ったりしない いつも、必ず、何とかしてくれる そう思わせてくれるくらい 頼もしくて それは、瑞紀が、お兄ちゃんで居る為に 色んな事我慢して、頑張ってるお陰で だから… たまには、兄孝行 してやってもいいかなとか…思う 「ありがとう…お兄ちゃん」 「………え?……え?…え?え?!今…お兄ちゃんって…ゆず、もう1回!」 「あら~…ゆず、お兄ちゃんに甘えてたの~?可愛いわね~」 「うちは、兄弟仲良しで幸せだな~」 向こうから、のんびりとした父さんと母さんの声が聞こえてくる 「ね?ゆず、もう1回だけ!」 「もう終わり」 「お願い!もう1回!」 お兄ちゃんなんて、いい事ないのに お兄ちゃんって呼んでもらいたい瑞紀 それは、俺のお兄ちゃんで嬉しいよって言われてるみたいで 少し照れ臭い 「もう、当分は瑞紀なの!」 「なんだ~…ゆずはツンデレだな…」 ちゅっ ……え? 「お兄ちゃんって、呼んでくれるまで、色んなとこキスしよっと」 「なっ…はあ?」 ちゅっ ちゅっ 「あらあら…良かったわね?ゆず」 「あれ…それは…どうかな?いいのか?」 「あら眞紀(まき)さん。海外でも通じるご挨拶よ。今のうちに慣れといた方がいいわ?」 「そっ…そうか?」 「ほら、眞紀さんも…ちゅっ」 「そ…そうだな?慣れとこ慣れとこ…ちゅっ」 なんか…聞こえてくる けど… それどころじゃない! 「やめろ!兄弟でキ…キス…なんてしない!」 「俺はするんだよ。お兄ちゃん、やめて?って、可愛いく言ったら、やめたげる」 ちゅっ ちゅっ どっちもやだ! けど… 「おっ…お兄ちゃん…やめて?」 「…………ゆず~!可愛い~!」 「うえっ!」 ぎゅむ!っと抱き締められた 「はっ…離せ…」 「可愛いな~。俺の弟は世界一可愛い」 お兄ちゃんが、弟にキスをして それを見た両親も、多分キスしてて こんな、変わった家族ないと思う けど… 俺が今幸せなのは 俺の周りに、いい人ばかりが集まってきてくれるのは きっと、この家族のお陰だから 抵抗出来ないフリをして お兄ちゃんの熱すぎる愛情を受け止める 今はこの… 変わった家族の溢れんばかりの愛情を 存分に受け止めよう 永遠に続くものなんて、ないんだから
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