柚紀の誘拐

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「柚紀、なんか食ってこ?」 「うん。佐野は、体が大きいから、すぐにお腹が空くんだね?」 「お、俺達も付き合うぞ~」 「生田も、佐野と同じ位おっきいもんね?」 「柚紀、何か身の回りで、おかしな事起きてない?」 ? 波多野が、おかしな事を聞いてきた 「おかしな事って?」 「ほら、この前さ、犯人自主させたとか言ってたろ?」 「ああ…別に……すっかり忘れてた」 「俺、思ったんだけど…その時ってさ、美術館で黄金展開かれてた頃じゃない?なんか、展示物何点か盗まれたって、ニュースでやってたんだよ…それじゃない?」 「あっ!俺もなんかそのニュース見た!」 波多野と生田は見たんだ けど、俺と佐野は知らない そんな程度の 俺達とは別世界の話だった 学校帰りに4人で、ハンバーガーやポテトを食べながら学校の話をして… 何気ない日常に、危険が迫ってるなんて 思いもしなかった 「佐野がトイレから戻って来たら、帰ろっか」 「あ…俺も行って来てからでいい?」 「いいよ…俺も付いてこうか?」 「えっ?大丈夫だよ」 「心配だなぁ…家まで送ってあげようかな」 「(きよ)は、柚紀の母ちゃんか?」 でも… この時の波多野の心配は、この後的中する事となる トイレから出た所で、トイレを待ってる人が居て 早々に立ち去ろうとすると、グイッと腕を引っ張られた ……え? 「いいか?声を出したり下手な事したら、お前だけじゃなくお前の友達も、どんな目に遭うか分からねぇからな?騒ぐんじゃねぇぞ?」 「だ…誰…ですか?」 「質問はナシだ。命が惜しいなら、言われた通りにしろ。俺が、このタイミングでお前に接触出来てる意味を考えろ」 このタイミングで接触出来てる意味… つまり… 俺の事、調べて尾行されてる 調べてるのは、俺の事だけじゃないかも… 「……分かった」 「賢い判断だ。お前の友達は、命拾いしたな」 「何…なんで…」 「質問はナシだ。店を出たら、怪しまれない様に、店の裏に回れ。そこに車が停めてあるから乗れ。お前が電話したり、逃げた瞬間、お友達を連れてく事にする」 「っ…分かったっ…」 「よし、行け」 分かんない 何が起きてるの? でもきっと… 考えられるのは、波多野が言ってた事… 席に戻ると 「良かった。柚紀遅いから、見に行こうかと思ってたとこだよ」 「大の方だったのか?」 「柚紀…大丈夫か?何か…顔色悪くないか?」 佐野が、心配そうに見てくる 「あ…大丈夫。その…ちょっとお腹の調子悪くなっちゃって…」 「マジか。もう帰って休め」 「うん」 まずは、さっさと皆から離れなきゃ それから…それから… どうしよう なんとか瑞紀に知らせたいけど… お店を出て、皆と別れて お店の裏… キョロキョロしてると 「そこを曲がれ」 「っ?!」 すぐ後ろから、さっきの声が聞こえた 後…付けてたんだ 携帯は出せない 車…乗って 何処連れてかれるの? 瑞紀…助けて… お店の裏には、言われた通り車が停まってて 表通りと違って、全然人通りがない 「乗れ」 ドアを開けられ、乗り込もうとした時 「柚紀!」 この声… 「な…なんで…」 佐野が、こっち見て叫んでた どうしよう… 見られた 佐野…巻き込んだ… 「おい!柚紀を何処連れてくつもりだ?!」 「おいおい…せっかくお友達が巻き込まないでやったのに…」 「佐野!逃げて!」 「柚紀!」 佐野が、こっちに走って来る 「ダメ!佐野、逃げて!」 「何言って…」 「手間かけさせんな…よっ!!」 「ぐはっ…」 「佐野!!」 勢い良く走って来た佐野のみぞおちに膝… 佐野が…倒れて…息… 「佐野!佐野!」 佐野の元に駆け寄ると ガッ! ドサッ 軽く足で胸を蹴られて 俺は、呆気なく尻もちをついた 「おい!そっちのガキは、丁寧に扱え!ちゃんと頭と口使えるようにしとけ!」 「分かってるわ!さっさと、ガキ2人積み込むから、お前も手伝え!」 「ったく…なんだってガキに尾行なんてされてんだよ?!」 「うるっせぇな!元はと言えば、てめぇの弟のせいで、こんな事になってんだろが!」 口喧嘩をしてる2人に 俺達は、何かの物の様に車に積み込まれ 車は動き出した 「佐野!大丈夫?!」 「っ…だい…っ…」 「佐野!」 「うるっせぇな!死にゃしねぇよ!勝手に喋んな!」 俺達の間に乗った奴に 俺達は、手を縛られ、目隠しされた 俺の携帯には、GPSが付いている 佐野達と、あのお店に寄るまでは、母さんに連絡した 帰りが遅ければ、瑞紀が気付いてくれるはず 「おい、お前……」 「はい…」 「お前…この前、お前と同じ位の歳の奴、交番に連れてったな?」 「…はい」 やっぱり… 関係あるのか 「あの時あいつ…何か数字言ってなかったか?もしくは、数字を書いた何か…見なかったか?」 「数字……」 「そうだ。よ~く思い出して、慎重に答えろよ?俺達も人生がかかってんだ。お前が何か知ってるなら、お前の命に価値はある。何も知らなければ、お前に価値はない」 「っ…?!」 価値はない… 殺されるって事? 「ビビるよな?そりゃそうだ。けど、頭だけは動かした方がいい。協力出来るなら、少なくとも、俺達の目的が達成するまでは、生かしといてやる。ついでに、馬鹿な友達もな」 「っ…協力…する……一瞬だったし…時間経っちゃったから…上手く思い出せるか分かんないけど…あの時…数字書いた紙…出してたから…」 とにかく時間かせがなきゃ そしたら、瑞紀気付いてくれる そしたら、きっと… 「ああ?!出してたって…警察に出してたのか?!」 「そっ…そう……なんか…金色の…ちっちゃいフィギュアみたいのと一緒に…」 「ふざっけんなよ?!おい!お前の馬鹿な弟は、どこまで馬鹿なんだ?!ああ?!」 「知るか!お前だって、あいつは数字にだけは強いからって、最終的にあいつ選んだろうが!」 「ここまで馬鹿だとは、思ってなかったんだよ!金庫開けられても、お前の取り分半分じゃねぇぞ?!分かってんだろな?!」 「うるっせぇな!んな事は、金庫開けられてから話せ!くそっ!くそっ!くそっ!」 あの子…智…だっけ… 智のお兄ちゃんが、運転手さんで 俺達の間の人と3人で、盗んだのかな 金庫って… あの数字は金庫の? 智以外…知らないって事?
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