柚紀の誘拐

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何処かに車が停まり、俺達は降ろされた 佐野…歩けてるみたい 良かった 玄関?入った所で 「めんどくせぇから、取れ」 「そうだな。どうせ何見たって分かんねぇしな」 俺達は、目隠しを外された 「無駄口叩くなよ?さっさと上がれ」 手を縛られたまま、俺達は、普通のアパートっぽい部屋の中に連れてかれ、床に座らされた 「お前…数字を少しは覚えてるのか?」 2人して俺達の前に、しゃがみ込み 初めて2人の顔を、まともに見た 2人共30代くらい? 「1つは…確実に覚えてる」 「ほう?何だ?」 「6。俺には、よく分かんなかったけど、6は完璧だから…6で終われて良かったって言ってて…確かに、そのメモ用紙の最後の数字は、6だったから」 俺がそう言うと 2人が顔を見合せてる 「おい…完璧ってどういう事だ?」 「知るか!俺に聞くな!」 「お前ら兄弟だけ知ってる数字とかじゃねぇのか?!」 「違うわ!だったら、こんなリスク侵してまで、こいうら連れて来たりするか!」 「……まあ…それもそうか…~~っ…くそっ!わっけ分かんねぇな!あいつの頭ん中、どうなってんだよ?!」 智のお兄ちゃんじゃない方の人が、苛ついて立ち上がり、壁を拳で叩いている 凄い力… 「でもまあ…簡単に1つでも知れたんなら、連れて来た甲斐あるな」 「何悠長な事言ってんだよ?!警察に知られてんだぞ?!」 「だから、引っ越して、金庫も持って来たろうが。ここは、友達名義なんだろ?早々見付かんねぇよ」 「ああ?!今頃海外で大金持ちだったんだぞ?!なんで、日本でコソコソしてなきゃ、なんねぇんだよ?!……あ…お前ら…携帯何処だ?」 あ… 急に、興奮してた人が冷静になり、俺達のカバンを探り出した 「今の親は心配性だからな?高校生にもなってとは思うが、念の為…おい!こいつらの携帯、ここから離れた場所に捨てて来い!」 「はぁ…俺が行くのかよ…」 「当たり前だ!お前の弟のせいで…」 「分かったよ!くそっ!」 そう言うと、智のお兄ちゃんが、俺達の携帯を持って、玄関を出て行った 「くそっ!最悪だ!くそっ!」 残ったもう1人は、また、興奮してる 「お前!」 「はい…」 「死ぬ気で残りの数字を思い出せ!思い出せないなら、ほんとに死んでもらう。お友達と一緒にな」 「……分かりました。あの…何かヒントはありますか?」 「ああ?!ヒントだ?!んなもんねぇよ!」 「なんか…金庫とか聞こえたんですが…だったら、何個数字があるとか…幾つまでの数字とか…少しでも絞り込めるかと思って…」 「……ああ。全部で4つだ。最後が6なら、あと3つだ。数字は1から100までだ。他にヒントはない。さっさと考えろ」 何か… 必死に思い出す姿勢で、時間かせがなきゃ 「あの…」 「今度は何だ?!あんまりうるせぇと、口塞ぐぞ?!」 「あの子…数字に強かったって、ほんとですか?」 「ああ?!だからどうした?!」 「もしそうなら…なんらかの法則とか…あるのかなと思って…」 「法則だ~?」 「はい…あの子…6が完璧だって言う前に…2桁だから仕方ないんだって言ったんです。もしも数字に強い人なら、そこに何か意味があるのかもしれません」 しばらく、考えた後… 「確かにあいつは、馬鹿でどうしようもないが、数字に関する事だけは天才的だったからな…数字見て考えてりゃ、1日過ごせる様な奴だ」 「……じゃあ…足とか…腰とか…縛ってもいいので、手を解いて、紙と鉛筆貸して下さい」 俺がそう言うと 再び俺達の前に来て、しゃがみ込む 「……てめぇに分かるのか?」 「分かるかどうか分からないけど…分からないと思った時点で、殺されるんですよね?」 「………お友達は、手を縛ったままだ。余計な事した瞬間、お友達を殺す。お前の頭さえあればいいんだからな?」 佐野を… 「分かりました。ただ…佐野は、俺より数学が得意です。手を縛ったままで構わないので、相談してもいいですか?」 「いいだろう…余計な相談じゃなけりゃな?」 その人は、大きめのテーブルを持って来て 結束バンドで、テーブルの足と、俺の足を縛った 「ほらよ、最高の環境を整えてやった。いつまでも時間があると思うなよ?」 「分かりました」 テーブルの上に、紙と鉛筆を置くと、そう言った 部屋の入り口に椅子を持って来て、俺達を監視している まずは、紙に、1~100や、4行分の線、最後の行に6…と、分かってる事を書き込んでく ほんとは、佐野、大丈夫?とか話したいけど… 「佐野、この時点で何か思い浮かぶ事ある?」 「こんだけじゃなぁ…100まであるのに、なんで最後が1桁なんだ?」 「うん…でも、逆にヒントっぽくもあるよね?」 「まあな…6なんだから素数でもないしな…」 「そうだね…一応、違うと思う物も書いていこう…素数✕っと…」 「あ、逆に6までの素数じゃない数学とか…」 「6までの…でも、2桁って言ってたから…」 「だよな…」 しばらく、俺達がアレコレ言って考えてると 「ふぁ~…お前ら、変な事すんなよ?」 そう言って、見張ってた奴が、奥のリビングに行った 小さな声で囁く 「佐野…体大丈夫?」 「大丈夫だ。時間稼ぎか?」 「うん…絶対瑞紀、気付いてるはず」 「分かった。俺は数学無理だから、普通に必死に考える」 「うん。そうして」 いつまでも何も思い出さない訳にはいかない 少しずつ…何か思い出してかなきゃ 価値があるって思わせなきゃ 瑞紀… 今回は迷子じゃないけど見付けて… 携帯…どっか行っちゃったけど… 俺の事…見付けて…
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