柚紀の誘拐

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渡された用紙に 2人で思い付く数式を、次々書いていく 必死に思い出そうとしてるのが大事だ 答えを書くスペースの 1~3行目に、◯を2つずつ書く 2桁ずつの数字 1行目の始めと、2行目の終わりに、同じ数字を書く 8◯ ◯8 「お~い…何か思い出したか~?お?」 「はっきり…しないけど…確か、ここは同じ数字だった気がします。色んな数字当てはめてみたけど…8が1番しっくりきます」 「おお~~!!お前…なかなか記憶力いいじゃねぇか!その調子だ!思い出せ!」 「はい…」 「はっはっはっ!いいぞ!せっかく盗んだんだ!大人しく捕まってたまるか!」 そう言って、陽気にリビングに戻ってった 多分…お酒飲んでる 酔っ払って、機嫌いいんだ 「あいつ…何処まで行ったんだ?あの馬鹿が!」 リビングから声が聞こえる 確かに…遅い でも、1人の時に、俺達をどうのって事は… ないんじゃないかなって思う 「柚紀…今は機嫌いいけど…」 「うん…機嫌悪くなってきたら、もう少し思い出してなきゃ…」 「柚紀は、ほんとは全部の数字覚えてるのか?」 「うん…でも、知ってるけど思い出せないじゃないと、価値がないでしょ?」 「………マジか。柚紀って…見かけによらず、肝座ってんな?」 違うよ佐野 絶対絶対、瑞紀がどうにかしてくれるって、信じてるからだよ しばらくすると… 「おっせぇな!あの馬鹿!……おい!馬鹿!何処まで行ってんだよ?!」 智のお兄ちゃんに、電話し始めた 相当イライラしてる 「ああ?!さっさと来い!こんな時にフラフラすんな!馬鹿!……おお…それが、あのガキ記憶力がいいらしくてな…少しずつ思い出してきてんぞ…ああ……ああ……あ?んな事帰って来てからでいいだろが!さっさと帰って来い!」 これは… 用紙に、数字を書き込んでいく 8 1か2 1か2 8 ◯◯ 6 「おい!どうなった?!思い出せねぇなら、ぶっ殺すぞ?!」 「だんだん…近付いてると思うんですけど…その…金庫って、試してみて分かったりしますか?」 「ああ?!」 「ここの数字…どっちも1か2だと思うんです…」 「……ほう?分かるかどうか分かんねぇが、回してみるか」 「お願いします。ここが分かれば…次のヒントになります」 落ち着いた 金庫…ここにあるんだ 早く…気付いて 瑞紀…早く… しばらくすると… 「お?……ん、やっぱそうだな…」 部屋に戻って来たその人は、ご機嫌で 「おい!おそらく1つ目が81、2つ目が28だ!なんか、その時の感触が違うからな!すげぇぞ!あと1つ思い出せ!」 「分かりました。81と28ですね?」 そう言って、紙に書き込んだ時… ガチャ 「ようやく戻って来たか!聞け!残すは3つ目の数字さえ分かれば……どうした?」 「悪い…」 「あ?」 そう言った途端… 「動くな!手を上げろ!」 良かった… 瑞紀だ… 瑞紀が、どうにかしてくれたんだ 間に合った 佐野と、ほっと視線を合わせる 「大丈夫かい?」 「はい」 すぐに、俺達の元にも警察が駆け付け 俺の結束バンドに気付き まずは、佐野を保護して立ち上がったところで 「おい!」 俺達を見張ってた奴が、警察官を切りつけて 警察官の腕からは血が…… 血が…… すぐに犯人を押さえようとした警察官にも 何処から取り出したのか、サバイバルナイフを振りかざして 気付くと、俺は… そいつに後ろから抱き抱えられる形で 俺の首元には、ナイフが突き付けられていた 「こっち来んな!こいつが、どうなっても知らねぇぞ?!」 「やめろ!柚紀!」 「落ち着け!話し合おう!」 皆が叫んでる けど… 声が遠い 何故なら… 血を見たから… 気持ち悪くて… 「おい!君!大丈夫か?!」 「どうしたんだ?!」 「柚紀は、血を見ると具合悪くなるんです!柚紀!」 「お前ら、皆出てけ!いつでも殺せるぞ!もう終わりだ!」 「待て!何よりその子優先だ…ある程度…お前の要求を飲もう」 「じゃあ、さっさと出てけ!車に乗れる様に退けろ!」 「……分かった!とりあえず、1度出よう」 そう言って、ゆっくりと皆 出口へ向かう 「柚紀!待って…柚紀!」 「落ち着いて…ちゃんと助ける」 佐野… とりあえず…良かった 「おい!気を失うのは、数字を思い出してからにしろ!」 「数…字…」 「さっさと最後の数字、思い出せ!」 「数字…数字…」 頭がぼ~~っとして… 「~~っ!!」 「頭が、スッキリしたか?さっさと思い出せ」 太ももに…ナイフが…突き立てられた 見ちゃダメだ… そんなの見たら、確実に気を失う 痛くて、気を失いそうだけど 「紙…見せて…」 「おら、よく見ろ!究極の状況だ!頭ん中、フル稼動させろ!死ぬ気で思い出せ!」 「おい!何をしている?!早く出て来い!」 外から、警察官の声が聞こえる 「うるせぇ!出るタイミングは俺次第だ!こいつ、ぶっ殺すぞ!」 部屋の窓を開けて、その人が叫ぶ もう…教えるべきなのかな… どっちが生きる道? 「おい!思い出せねぇなら、ぶっ殺すぞ?!どうせ終わりなんだ!死ぬか?!」 「9!」 「あ?」 「どっちか…9だと思う」 「適当な事言ってんじゃねぇだろな?」 「違う…紙…書かせて…」 「あと5分だ。それが、タイムリミットだ」 5分… 適当に数字を書きながら考える どうする? もう俺の事なんて、どうでもいいのかも でも、やっぱり殺すかも 佐野なら… 分かるかも 窓開いてる 大きな声で数字叫んだら その意味分かる 数字が分かったなら、その後 少しは、あいつが金庫に夢中になるって… 俺から離れてるって… それに…懸ける 大きく息を吸って… 「分かった!49!」 お願い! 気付いて! 「何?!49?!」 そう言って、案の定 俺なんか、そっちのけで、リビングへと向かってった と、思ったら… 「取り押さえろ!」 一気に警察の人達が入って来た 「君!大丈夫かい?!」 そう声を掛けられた瞬間 ふっ…と、気が抜けた 目を閉じる瞬間見えたのは… 真っ赤に染まった制服のズボンだった この感覚… 漏らした訳じゃないよね? そんなに…血…出てたんだ…
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