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ようやく警察が突入し、無事救出
かと思ったら
警察と共に出て来たのは
犯人の1人と、佐野君だけだった
犯人は、現場近くに
佐野君は、安全の為、俺達の近くに連れて来られた
無傷だった佐野君から、中での状況が語られる
ゆずは…足を拘束されてるんだ
「すみません!俺だけ…」
「何言ってるの…佐野君のお母さんの電話番号知らないから、連絡出来なかったのよ。早く連絡してあげて?」
「はい!」
残る数字は1つ
「じゃあ…その数字を言った瞬間…犯人は、ゆずから離れますね?」
「っ!…ほんとに…知ってると思うかい?」
「覚えてるって言ってました!」
電話中の佐野君が、答えてくれた
「それは、最高のチャンスだね」
「どうにかして、ゆずが答えるタイミング…気付いてあげて下さい」
「分かった」
すぐに都筑さんが無線で連絡する
ゆず…
絶対大丈夫だ
必ず助けるから
「ゆず…ゆず…」
手を合わせてると
「瑞紀…大丈夫よ?」
「母さん…」
「大丈夫。ゆずは、まだまだ修行中だもの。途中で居なくなったりしないわ?」
「そうだね…」
「そうよ?これから、沢山の人を幸せにするんだもの。そんな子、まだ天国からお呼びがかかったりしないわ?」
「うん…そうだね?」
俺達には使命があって
だからって、特別寿命が長い訳じゃないけど
だって、まだまだ全然…これからだから…
しばらくして、犯人が無事捕まった事
ゆずの身柄は確保したけど…
怪我をして、意識を失ってる事が告げられた
俺も…意識失うかと思った
その後の事は、よく覚えてなくて
気が付いたら、都筑さんのパトカーで、アパートの前に来てて
「瑞紀、お母さん行って来るわね?」
颯爽とパトカーを降りてく母さんの後ろ姿が見えた
俺も行かなきゃと思うのに…
全然力が入らなくて
そのうち、救急車の音が近付いてきて
「ゆず…」
行かなきゃ…ゆず!
「瑞紀君…一緒に行こうか」
「都筑さん…すいません」
俺が、モタモタとパトカーから降りて歩き出した頃
中から、救急隊の人達が担架を担いで来た
母さんと一緒に
「母さん!ゆずは…ゆずは…」
「大丈夫よ。怪我はしてるけど、意識失ってたのは、血を見たせいみたい。そんなに心配する程じゃないわ」
「ゆず…良かった…ゆず…」
「瑞…紀…?」
「ゆず!ごめん…遅くなって…ごめん……怪我する前に…助けれなくて…ごめん…」
「瑞紀…やっぱり…来てくれた……ありがと」
来るよ
何処にだって行くよ
ゆずの為なら、警察だって何だって使ってやるよ
「瑞紀、お母さんこのまま病院付いてくから。お父さんに連絡して、瑞紀は一旦家に戻ってくれる?」
「分かった」
「大丈夫?お兄ちゃん」
「っ…大丈夫だよ、母さん」
そうして、救急車に乗って行った、ゆずと母さんを見送り
俺は、都筑さんのパトカーで、家まで送ってもらった
途中、母さんからのメッセージを見た父さんが、かなり慌てた様子で電話してきて
とりあえず今、母さんとゆずが病院向かって、俺はパトカーで家に送ってもらってると説明すると、更にパニクってたが、家で合流となった
「瑞紀君も、柚紀君も、お母さんも、変わらないなぁ」
「え?」
ポツリと都筑さんが隣で言った
運転席の警察官が
「都筑さんは、知り合いなんですか?」
と聞くと
「以前勤めてた交番にね、小学校の帰り道、迷ったと言っては、柚紀君がよく来てたんだよ」
「へぇ~?交番には辿り着くんですね?」
「そうなんだよ。なんか、それが嬉しくてな?」
そう…
都筑さんじゃなくなってからも
何故だか、どんなに迷っても、交番には辿り着く
店ん中で迷うのに、迷子センターには辿り着く様に…
「迷子なのに、楽しそうに話してくんだよ。家の事や、学校の事。待ってる間に、絵を描いてくれた事もあったな」
「あ~…それは、癒されますね~。大体嫌われ者ですからね~…僕達」
「迎えに来るお母さんも、こっちが心配する位、焦ってなくてな~…どっちかと言えば、パッと見大人びてる、まだ小学生だった瑞紀君の方が焦ってた」
「そうなんですね~…」
そう
母さんが焦るって事は、殆どない
そして、ゆずも、日々些細な事で悩んで、ぐるぐる考えてるのに
非日常的な事が起こると、俺より肝が座ってる
「それにしても、ちゃんと金庫開いたらしいですよ?交番で、チラッと見ただけなんですよね?凄い記憶力ですね?」
「そうだなぁ…柚紀君が、そんな天才になってたとは…」
「ゆず曰く…絵を描くのが好きなので…これを描きたいって思った時に、その風景や物を、出来るだけ細かく記憶する癖みたいのが、できてるらしいんです。その影響じゃないかって、前に言ってました」
「ほ~…凄いな」
「ね~?凄いですね~?」
絵を描く事に関連してるなら
神付家の能力なんだろうな
それで、生かされたって訳だ
全く検討違いな事ばかり言ってたら
今頃ゆずは、この世に居なかったかもしれないからな
そうだね、母さん
まだ、早いですよ…って、言われたのかな
都筑さんに送ってもらい、お礼を言って別れ
父さんと共に病院に向かう
まだ、急患室で処置中のゆずを待ってる母さんと、合流
しばらくして、ようやく先生からの話が聞けた
ゆずの怪我は、左足首に、結束バンドで締められた擦過傷と、右の太ももにナイフを突き立てられた損傷
その太ももの方から、結構出血してたらしいが、幸い母さんがすぐに止血してくれてたのと、太い動脈を通ってなかったので、重症ではないらしい
念の為、何度もしっかり洗浄して綺麗にして、しっかり縫って
レントゲンも撮ってみたが、骨に異常もなく、採血なんかも正常との事で
あとは、血を見て失神したであろう、ゆずが目覚めるのを待つだけとの事だった
足縛られて、ナイフ突き立てられるなんて…
どんなに怖くて痛かったろう…
ゆず…早く、目覚めて…
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