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柚紀の謎解き
「なんで、こんなの…っ!!」
「柚紀、怪我してるんだから、突然起き上がったりしたらダメだよ」
「う~…なんで、そんな写真……佐野のは普通だったのに…」
波多野が、起き上がるのに手を貸してくれながら続ける
「柚紀は、可愛いのに、サービス精神旺盛だからね。お花のピン留め付けてる、可愛い柚紀も出てたよ?」
「えっ?!」
「あ、あと、3人が映ってる作務衣姿も、チラッと見たぞ?」
「あっ…宿坊体験の時の…それならいい!全部それにして!」
「いや、俺に言われても…」
学校の人達は、しょうがない
文化祭で来た人達も、しょうがない
けど…
全国の人に見られるなんて思ってないもん
「柚紀…」
「佐野~」
佐野が近付いてきたので、佐野に抱き付くと
「柚紀…良かった…思ってたより元気だ」
「佐野…なんか元気ないと思ったら、心配してくれてたの?」
「佐野は、今日散々騒がれてんのに、ずっと神妙な顔してたんだよ」
「そうそ。いつもなら、張り切ってペラペラ喋りそうなのに」
「それは兼士だろ?」
そっか…
昨日少し話したけど
佐野は、ずっと心配してくれてたんだ
「柚紀…ごめんな?俺…せっかく助けに行ったのに…何も役に立てなくて……しかも…先に助けられて……柚紀1人……怖かったよな?」
「佐野…そんな…何も役に立たないなんて言わないでよ。佐野が居てくれて、どんなに心強かったか…」
「でも結局…柚紀と瑞紀先輩が居たら、どうにかなったろ?俺は、足手まといだった…もっと力になれたら良かったのに…俺が居なかったら、すぐに柚紀…助けてもらえたのに…」
佐野…
そんな風に思ってたの?
あの時俺は、足縛られてたんだから、仕方ないのに
まずは1人でも確実に助けるに決まってるのに
「佐野…瑞紀がね、絶対気付いて助けてくれるって、信じてた。けど…時々、気付いても…助けてもらえなかったら、どうしよう…とか、考えが過った」
「そりゃ…いくら瑞紀先輩だって、高校生だしな…」
「そんな時さ、隣を見ると佐野が居て…あんまり話せなくても、話通じてくれて…どんなに心強かったか分かる?」
「俺は…何もしてないぞ?柚紀の作戦に大人しく乗ってただけだ…って…柚紀?」
佐野に擦り寄って匂いを嗅ぐ
佐野の匂い…落ち着く
「佐野は…凄く落ち込んでも…その状況を楽しんじゃうくらい強い人だから…」
「え?」
「佐野は…あんな怖い状況見ても…迷わず叫んで助けに来てくれる強い人だから…」
「そりゃ…そんなの考えてらんないだろ…」
「隣に強い佐野が居る…凄く心強かった」
「柚紀…じゃ…ちょっとは役に立ってた?」
「うん…物凄く」
「あら~…あら、あら、あら~」
部屋の入り口に
嬉しそうに、口元を両手で押さえてる母さんが立っていた
「ゆずったら、そんなに佐野君に甘えちゃって~」
「うん」
「いや、うんじゃねぇよ…そろそろ離れてくれ」
「やだ…佐野の匂い落ち着く」
「出たよ、柚紀の匂いフェチ。柚紀?そんな風に、家族以外にくっ付いてたら、誤解されるってば」
「聖、もう2人の事は諦めろ」
結局、佐野から引き剥がされ
俺達はリビングへと移動した
母さんが用意してくれた、飲み物とお菓子を頬張りながら、生田が話し出す
「なんかさ、最初に自主して来た奴、すっげぇ頭いいんだって。少しずつ、報道番組で詳細について説明してるけど、アスペルガーっての?アインシュタインとかもそうなんだってさ」
「なんか、数字に関しては天才的って、あいつら言ってたもんなぁ…ってか、柚紀、ほんと、よく覚えてたよな?あの数字…」
「そうだね?何か特徴的な数字だったの?」
「なになに~?謎解きタイム~?お母さんにも聞かせて~」
多分、夕食の準備をしてたであろう母さんが、俺達のとこに来て座りだした
「全然謎じゃないんだけど…俺、絵を描く時さ、その時見た物をその場で描くか、後で思い出して描く事が多いんだ。あんまり…写真って撮らない。写真だと、見た物とは、なんか違うから」
「へぇ~?柚紀、絵上手いもんね?絵を描く人の感覚なのかな…」
「よく分かんない。俺はそうなんだ。だから、何て言うか…印象深かったり、衝撃的だったり…そういうの…記憶に残す癖があるって言うか…」
「すげぇ癖だな?頭疲れそ~」
「兼士は、もう少し頭使った方がいいと思うよ?」
「あ?!」
生田と波多野の小競り合いを、佐野が止めた
「んで?その癖のお陰で覚えてたのか。そんな印象深い数字だったか?俺には、そうは見えなかったけどなぁ」
「智…そのメモを出した子が、言ってたんだ。6は完璧だからって」
「ああ、あの時も、柚紀言ってたな?」
「あと、2桁だから仕方ないんだって」
「もはや、俺には意味不明だな」
「でも、俺はあの数字に見覚えがあったんだ」
「「「「えっ?!なんで?!」」」」
凄い…
全員でハモった
「ヒントは、6は完璧。だから、もしかして完全数の事言ってるのかな、と思った」
「完全数?」
「うん。完全数っていうのがあって…説明は面倒だから省くけど、6、28、496…ってあるんだ」
「省かれた…全然分からん」
ごめん佐野…
説明すると、長いんだ
「その完全数って、4桁までは、たった4個しかないんだ。496と8128は4個の中の2つなんだ」
「ん?81…28?!」
「そう。最後まで埋めなかった、3つ目の数字は、49」
「49…で、6!」
「なんだなんだ?俺達にも、分かる様に説明しろ」
佐野が、生田と波多野と母さんに
金庫のダイヤルと、俺達が少しずつ解いてた数字について説明を始めた
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