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萌々香は必死で抵抗するが、足も抱えあげられる。そのまま車に乗せられそうになったとき――。
「お前ら、何をしている」
男性の声が響いた。
萌々香が目を向けると、そこにはスーツの男性がいた。
「ん――!」
助けて、と声をあげようとするが、言葉にならない。
「なんだてめー!」
金髪の男が仮面越しに男性をにらみつける。
「粗野で品がない」
男性は顔をしかめた。
「若様!」
男の子が声をあげ、男性の足元にかけつける。
「あのお姉さん、オレを助けようとしてくれたんだ」
「まったくお前は。急にいなくなったと思ったらこんなトラブルを」
あきれたように男の子の頭を撫でた。男の子の頭には茶色の丸い耳が生えて、腰のあたりからは丸みを帯びたしっぽが出ていた。彼は男の子を下がらせる。
「痛い目を見たくなければとっとと失せな」
金髪がすごんだ。
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